研究課題
モジュラー型製品開発に取り組んでいる自動車メーカー1社とそのサプライヤーを対象とするフィールドスタディを通じて、原価企画における原価見積エラーを抑制する上で、モジュラー型製品開発によるマスカスタマイゼーションが有効であること、従来から行われてきた個別の商品を対象とした原価企画がモジュラー型製品開発を阻害すること、モジュラー型製品開発の推進に、複数の商品で用いられる基幹部品を対象とした原価企画活動や原価企画担当者によって蓄積され共有が図られるコスト知識が重要な役割を果たすこと、モジュラー型製品開発がバイヤーとサプライヤーの関係性を変化させるため、両者におけるより密接な協働関係が求められること、などの点が明らかになった。また、原価企画における原価見積エラーの原因に、外挿による錯誤と品質設計の脆弱さがあることを明らかにし、その克服方法を提案している。外挿による錯誤とは、十分な経験や知識を蓄積・利用できないために発生する原価見積エラー、品質設計の脆弱さとは、複数の部品・原材料の組み合わせの変化に起因した原価見積エラーである。さらに、レゴトラックを用いた原価企画の実験室研究を試行的に実施し、目標原価の有無やその水準が原価低減活動に及ぼす影響を理論的に検討し、一定の実証的知見を提供している。原価企画における原価見積エラーは、多くの企業が直面している経営問題であるにも関わらず、理論的な検討や実証的な証拠の蓄積が遅れている。本研究の成果は、この点において、先駆的な試みであり、学術的に高い意義を有している。また、本研究の成果は、モジュラー型製品開発によるマスカスタマイゼーションの実現において、コスト・マネジメントの面での変革が求められることや原価見積エラーを発生させる原因や克服方法などについて重要な示唆を提供しており、実務的にも有意義なものである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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原価計算研究
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巻: 43 ページ: -
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