研究課題/領域番号 |
16H03690
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
落合 恵美子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90194571)
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研究分担者 |
岩井 八郎 京都大学, 教育学研究科, 教授 (80184852)
伊達 平和 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (70772812)
柴田 悠 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50631909)
大和 礼子 関西大学, 社会学部, 教授 (50240049)
押川 文子 京都大学, 地域研究統合情報センター, 名誉教授 (30280605)
村上 薫 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 主任研究員 (00466062)
安里 和晃 京都大学, 文学研究科, 特定准教授 (00465957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 家族 / トルコ / 中東 / イスラム圏 / アジア / 世代間関係 / ジェンダー / 意識 |
研究実績の概要 |
(1) トルコにおける質問紙調査の実施:トルコのアンカラにおいて質問紙調査を実施した。ハジェッテペ大学のイズメット・コッチ教授が実査の統括を担当し、京都大学院生のウシル・ベイラクターが助手を務めた。トルコ調査に特有の質問項目の作成に関しては、トルコの地域研究を専門とする村上を中心に内容面での助言を行った。9月までに実査を完了する予定であったが、現地の政情不安のために一時中断を余儀なくされ、完了は10月となった。その後、データクリーニングと基礎的分析を行なった。政情不安の中での調査実施には心配もあったが、コッチ教授が現地の情報を収集して実施可能と判断した。その後、状況はむしろ悪化しているので、アジア家族の共通性と多様性を理解するために極めて重要な中東地域において、(この数年では)最後かもしれないチャンスに調査できた意義は大きいと考える。トルコチームの健闘に感謝している。 (2) CAFSデータを用いたアジア家族の比較分析:既存データの分析が進んでいるタイ、ベトナム、マレーシアについては、成果出版に向けての作業を進め、出版社に入稿することができた。現在は査読結果を待っている。インドを加えた4カ国について、記述的な比較分析をまとめた成果出版に向けての執筆も進んでいる。 (3) 全体会議開催:トルコ調査終了予定だった9月に全体会議開催を実施したが、実査終了が予定より遅れ、またコッチ教授の出国も難しかったため、トルコチームはスカイプ参加となった。また、トルコ調査の最初の成果を検討するための国内全体会議を3月に実施した。世代による意識や行動の変化が小さいというトルコの特徴が明らかになった。 (4)成果発表:7月にウィーンで開催された世界社会学会における国際会議でセッションを設け(岩井八郎とEun Ki-Sooがオーガナイザー)、プロジェクトのこれまでの成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・政情不安が続くトルコでの調査実施には心配もあったが、コッチ教授が現地の情報を収集して実施可能と判断して決行したことは正しかったと考える。実査は予定よりも半月ほど遅れたのみで、研究計画にまったく支障は生まれていない。その後、状況はむしろ悪化しているので、アジア家族の共通性と多様性を理解するために極めて重要な中東地域において、(この数年では)最後かもしれないチャンスに調査できた意義は大きい。貴重なデータを収集してくれたトルコチームの健闘に感謝している。 ・予定外であったのは、トルコの研究者の海外渡航が制限されたため、コッチ教授が9月の会議に参加できなかったことである。その後、3月に招へいする計画を立てたが、やはり出国が難しく、断念せざるを得なかった。それでもスカイプによる会議参加、メールでの綿密なやりとりなどのおかげで、トルコチームとの連絡はよく取れている。 ・計画段階では本年度にトルコを訪問して家族インタビューなどのフィールド調査を実施する予定であったが、政治情勢が緊迫しているために安全を考慮して延期することとした。また同じく計画段階では本年度にベトナム南部におけるフィールド調査も予定していたが、予算の制約のために実施しなかった。質問紙調査が中心のプロジェクトではあるが、現地訪問とインテンシブなインタビュー調査も実施して、データの解釈力を高めることをめざした計画であったが、やむを得ない事情のために実現できず残念である。
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今後の研究の推進方策 |
・平成29年度は予定通りベトナムのカントーにおいて質問紙調査を実施する。トルコでのような問題は無いので、予定通り実施できるものと考えている。 ・ベトナム調査では質問紙調査と並行して、約50件のインデプスインタビューを予定している。実査が日本の学期中であるため、日本側メンバーの参加が可能かどうかを検討中である。参加できない場合は、インデプスインタビューの翻訳などの方法により、フィールド調査の不足を補いたい。 ・成果を国内外の学会で発表するチャンスを積極的に作ってゆきたい。
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