研究課題/領域番号 |
16H03712
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
白澤 政和 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20094477)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本年度の研究の目的は、介護支援専門員からソーシャルワーク・ケアマネジメント支援を得ている要介護者・介護者特性を明らかにすることにある。そのため、昨年度の調査で回答の得られた1724名の介護支援専門員の利用者(要介護1から要介護5)で、家族介護者がおられる方で、氏名が50音順で最も早い者を対象として調査を行った(回答者数:594名、回収率:34.1%)。 ソーシャルワーク・ケアマネジメントの利用状況については、介護支援専門員の34項目の支援実践についての満足度と期待度を尋ねた。その結果、満足度については、「どのように支援していくかを、あなたと一緒に決めてくれる」「何で困っているかを、あなたと一緒に考えてくれる」「批判的でない態度で接してくれる」「あなたの感情や思いに耳を傾けてくれる」が高く、「.町内会や民生委員の方などと協働して支援してくれる」「あなたと別居の家族との関係を理解し、それを支援に活かしてくれる」「家族や近隣等から受けることができる支援を活かすようにしてくれる」等のインフォーマルサポートの調整に関する項目が低い値を示した。一方、介護支援専門員の支援実践に対する期待度についても,「何で困っているかを、あなたと一緒に考えてくれる」「どのように支援していくかを、あなたと一緒に決めてくれる」が高く、「町内会や民生委員の方などと協働して支援してくれる」「あなたと別居の家族との関係を理解し、それを支援に活かしてくれる」「あなたと近隣との関係を理解し、それを支援に活かしてくれる」が低く、満足度と同様にインフォーマルサポートの調整に関する項目は期待度が低い値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに調査を実施し、その成果を得ている。詳細な分析についても既に行っており、いくつかの学術論文としてまとめている過程である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、32項目のソーシャルワーク・ケアマネジメントの満足度と期待度の構造を明らかにし、それぞれの因子と関連する要介護者、主介護者、介護支援専門員特性を、t検定や一元配置分散分析でもって抽出していく。結果として、ソーシャルワーク・ケアマネジメントを満足や期待している要介護者、主介護者、さらには介護支援専門員の特徴を明らかにすることにある。 同時に、主介護者の就労継続に関連している要介護者、主介護者、および介護支援専門員特性を明らかにすることにしている。現状の就労状況については、現在仕事をしている主介護者は264名(44.4%)であり、仕事をしていない主介護者は262名(44.1%)となっており、現在仕事をしている者と仕事をしていない者がほぼ同数である。仕事をしている主介護者の勤務形態では、常勤(フルタイム)の者が159名(60.2%),非常勤(パート、アルバイト含む)の者が96名(36.4%)であり、それらの仕事について、介護を始める前から同じ仕事を継続している者が228名(86.4%)、介護を始める前とは異なる仕事に就業している者が27名(10.2%)ということであった。一方で、現在就業していない者についてみると、介護を始める前は仕事をしていたが、介護及び介護に関わる事情を理由に退職した者が71名(27.1%)、介護を始める前から仕事をしていなかった者が129名(49.2%)という内訳となっていた。結果的には、介護を始まる前に仕事をしていた者を総数とすると、継続している者が78.8%で、離職した者が21.2%であった。主介護者が就労を継続する要因を、ロジスチック回帰分析をもとに、要介護者、主介護者、介護支援専門員の特性から明らかにする。
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