障害者相談支援専門員の意思決定支援の現状と課題を明らかにするため、全国の相談支援事業所3000か所での1名の相談支援専門員を無作為抽出し、2019年度に郵送調査を行った。回収率39.3%で、回答者資格は、社会福祉主事6割、社会福祉士4割、精神保健福祉士2割、介護支援専門員15%程度であった。平均経験年数は6年4か月、直近1ヶ月間のサービス等利用計画作成件数は12.5件であった。雇用形態は、常勤・専任が6割、非常勤・専任が3割であった。過去1年間に法定研修を除く相談支援に関する研修参加は、 複数回参加が7割、一度参加や参加なしがそれぞれ15%程度であった。所属事業所では、社会福祉法人が半数以上を占め、平均相談支援専門員数は2.72人であった。 相談支援における意思決定支援に関する39項目について、実践度と重要度を4件法で尋ね、実践度を探索的因子分析を行い、第1因子「丁寧な意思形成・表明・実現支援」、第2因子「事業所の意思決定支援体制」、第3因「代行決定の判断基準」、第4因子「本人理解のためのアセスメント」の4因子を生成した。 4因子について合成変数を作成し、重要度は実践度4因子に基づく合成変数を作り、基礎属性との関連をみた。資格では、社会福祉士は,実践度第1因子は低く、重要度第1因子と第3因子は高く、精神保健福祉士は,実践度第1因子が高く、介護福祉士と介護支援専門員は実践度も重要度も有意差はなかった。過去1年間の法定研修を除く相談支援に関する研修受講状況との関連では,実践度第1因子と第2因子、重要度第2因子と第3因子において,2回以上参加群の方が高かった。雇用形態では,重要度第1因子と第3因子と第4因子で有意差がみられた。担当ケース数の内で最も多い身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、障害児の5領域では、実践度第1因子で有意差がみられ、精神障害領域が知的障害領域よりも高かった。
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