研究課題/領域番号 |
16H03717
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
北川 清一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50128849)
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研究分担者 |
耕田 昭子 明治学院大学, 社会学部, 助手 (20772578)
栗山 隆 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (40316344)
村田 典子 流通経済大学, 社会学部, 教授 (40326799)
石垣 文 広島大学, 工学研究科, 助教 (60508349)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / ソーシャルワーク / 実践のガイドライン / 建築物のイノベーション / 施設養護と事業計画 |
研究実績の概要 |
2017年度は、前年度には実施したデンマークのコペンハーゲン市内にある社会的児童養護施設の事前(視察)調査の成果を児童養護施設の「デンマークモデル」として取りまとめた。その作業過程で本研究に関心を示された「社会福祉法人・聖隷福祉事業団」関係者と接触する機会が得られ、本研究のキーワードともなっている「脱・施設の小規模化」及び「脱・家庭的養護化」と「デンマークモデル」の関連性を確認しながら、新たたな発想に立った「児童養護施設」の開設(新設)に向けて必要な作業の外郭を取りまとめための研究会を合計6回開催した。 その研究成果として以下の報告書を取りまとめた。 ①北川清一明治学院大学研究室編『児童養護ソーシャルワーク専門施設=ふくろうファミリーハウス:20XX年度事業計画書(仮想版)』 ②北川清一明治学院大学研究室編『児童養護ソーシャルワーク専門施設=ふくろうファミリーハウスがソーシャルワークの実践場となるための指針(guideline)/「マニュアル」思考を乗り越えるために、ソーシャルワーカーらしく考える一歩を踏み出すために、スタッフとしてもつべき「知の箱」』 また、上記報告書を取りまとめる過程で、2016年度に視察した児童養護施設のスタッフと「取りまとめ作業の視座(ethos)」の妥当性の検証を企図した研究会を重ねた。その成果は2018年度の研究課題に取り込み、最終報告書の中で「実践理論の汎用化の方法」として表すことで計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で示した2冊の報告書は、取りまとめ以降、本研究の推進に向け「研究協力施設」として交流をもってきた全国20施設に配布し、おおむね「実用化」が可能との評価を得ている。 また、報告書を用いた「施設内研修」にも5箇所の「研究協力施設」から講師派遣要請があり、「施設(建築)モデル」「実践モデル(必要な専門職の専門性と配置)」についても実用化も向けた取り組みの協力体制が出来上がりつつある。 さらに、山梨県保健福祉部からの依頼で、各県に義務づけられた「児童福祉司等及び要保護児童対策調整機関の調整担当職員」研修会への協力要請を受け「子ども家庭ソーシャルワーク」をテーマに、施設と行政の連携・協働のあり方について、その体系化・共有化を図る学びを重ねることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、児童養護施設で織りなす日々の生活を通じて、その「日常性」の中で体現される、グループの形成から始まり絶えずダイナミックに変化する活動内容や人間関係、グープの構成員個々の独自の価値志向、社会的態度の形成・変化等の過程を重視する実践展開の「視点」を共有することを企図して研究会を運営してきた。 2018年度に向けては、過去2年間の取り組みの基本としてきた視点と同様に「人としての暮らしを志向する施設の形」の体現方法を確認する。併せて、子どもを家族から分離することなく「家族を一体化して支援(再生化:social work treatment)」する「家族支援型施設」のモデルとしてデンマークにおける「社会的児童養護施設」への訪問を計画・実施し必要な情報の収集に努める。 さらに、改築が終了し「小規模児童養護施設」としての運営が定着している施設を再訪し、意見交換を重ね、施設養護の過程 に「グループを活用したソーシャルワーク」の取り込みを推進できる実践環境を整えることを企図した「事例検討会及び人材育成としてのスーパービジョンの方法」について実証的に検討する機会を準備したい。 最終的には、3年間の研究活動の成果物(報告書)として「児童養護ソーシャルワーク専門施設の建築基本計画」を刊行し、関係者に配付することとしたい。
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