フランスとイタリアの終末期ケアの現状と多職種による意思決定支援についてヒアリング調査を行い、公開されている各種調査データを参考に分析した。 フランスでは、高齢者施設と緩和ケアモバイルチームなど6か所のヒアリング調査を行った。その結果、①レオネッティ法(尊厳死)に則って、多職種での意志決定支援を実施していた、②国民の半数は事前指示書の作成を躊躇しており、その理由は「家族の決断を信頼している」と「考えたくない」であった、③緩和ケアモバイルチームによる相談・助言は高齢者施設内の看取り率を高める、④かかりつけ医を重層的に支える支援体制が有効、⑤緩和ケアの研修の制度化が進み、その中でもコーディネーター看護師等の配置が緩和ケアの質を向上させていた。 イタリアでは、ボローニャ市内にある緩和ケアネットワークセンター、イタリア癌協会など6か所のヒアリング調査を行った。その結果、①2018年に制定された事前指示書作成に関する法律は、健康な人を対象にしているため、病院や高齢者施設では、個別治療計画で対応している、②緩和ケアネットワーク形成は2段階で実施されている、③かかりつけ医の看取り経験は少なく、支援体制も脆弱である、④イタリア人は死に対する恐怖心が強く、死をタブー視しているため、事前指示書の普及には時間を要する、⑤緩和ケアの研修制度が未整備のため、職種による差が大きいなどであった。 両国に共通していることは、①意思決定支援を支える法整備が進められている、②ネットワーク形成の構築に舵を切っている、③がん患者に対する支援が中心で、非がん患者への支援は道半ばであることである。 また、先行研究を参考に地域終末期ケアマネジメント指標を作成し、A県にあるB市の地域マネジメント事業で展開し、指標の修正を行った。指標は、6領域25項目である。
|