研究課題/領域番号 |
16H03722
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
森川 美絵 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (40325999)
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研究分担者 |
森山 葉子 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (10642457)
中村 裕美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20444937)
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
福田 敬 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (40272421)
松繁 卓哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70558460)
大夛賀 政昭 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (90619115)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的ケア / QOL / 尺度 / 高齢者介護 / 地域包括ケア / アウトカム / 評価 |
研究実績の概要 |
翻訳手続きの国際的指針に適合したASCOT SCT4日本語翻訳版を世界で初めて作成した。翻訳版は、原版開発者ケント大学the ASCOT team at the Personal Social Services Research Unitの承認を得て、開発が本研究班によることの明記とともにサンプルがWEB公開されている(https://www.pssru.ac.uk/ascot/translations/)。その上で、このASCOT SCT4日本語版を用い、I. 地域包括ケアシステムへの社会的ケア関連 QOL指標の導入可能性の検討、Ⅱ. 尺度の妥当性の統計的検証を行った。 I. 地域包括ケアシステムへの導入。A自治体で実施されたASCOT日本語翻訳版を含む要介護者・要支援者の実態調査データの二次分析により、日本初の社会的ケア関連QOLの測定、多変量解析による関連要因の検討を行った。A自治体に分析結果をフィードバックし、アウトカム評価の活用手法について継続的な意見交換を行うと共に、地域包括ケアシステムのアウトカム指標を事業担当者と本研究班が共同で検討する枠組みを作った。また、B地域の地域包括支援センター職員等で構成される研究会を組織し、ASCOTの臨床での活用可能性を検討し、多職種における支援観の統一やサービスの本人視点での調整という面での有効性を検討した。 Ⅱ. 尺度の妥当性。ASCOT日本語翻訳版の文化的妥当性をSEM(Structural Equation Modeling)とIRT(Item Response Theory)により統計的に検証した。また、既存の健康関連QOL尺度(EQ-5D-5L)と本研究で開発した尺度間の関連性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的・計画に即して着実に実施し、上述の研究実績を積み、その成果発表も国内および国際学会での研究報告としてを複数実施した。また、学術雑誌への論文投稿の手続きも進んでいる(国内雑誌2本投稿査読中、国際雑誌2本投稿準備中)。実務家や自治体の協力も得られており、今後も適切な研究遂行が見込める。
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今後の研究の推進方策 |
I. 地域包括ケアシステム運営における社会ケアのアウトカム評価のツールの活用法・インパクの検討。a) 自治体の地域包括ケアシステムの計画・事業担当部門との協働討議を通じ、地域包括ケアシステムとしてのアウトカム指標の構造化(アウトカム評価の枠組みの設計)、主要事業におけるアウトカム指標の設定、活用する行政統計・データの利活用 について具体的な活用方法論を構築する。b) 相談・ケアマネジメントの相談実務者と協働しながら、臨床レベルにおけるアウトカム評価指標・尺度の活用手法の検討 、臨床活用のための研修テキスト(ガイドブック)の案を作成する。 II. 社会ケア関連QOLによる社会ケアのアウトカム評価尺度の開発。a) H29年度の成果である「言語的妥当性の担保された日本語版ASCOT SCT4」を用い、SCRQoLの分布と関連要因を分析する。b) ASCOT SCT4の日本語版独自の重み付けを開発する。 これらの成果を国内外の学会や論文により発表するとともに、ASCOT原版開発者であるケント大学の研究チームや、日本語版ASC OTの介護者版開発者とも情報交換を進め、共同研究としての展開を探る。
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備考 |
ASCOTの原版開発者 Personal Social Services Research Unit, University of Kent が作成しているWEB ページにおいて、日本語翻訳版を本研究班と共同開発したことや、国際プロジェクトとしての本研究の概要が掲載されている。
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