レーティングの活用や家庭でのゲームの利用に関するしつけがテレビゲームの悪影響を避けるかどうかを検討するために、2017~18年度にかけて、対象者が異なる2つの2波縦断調査を実施した。2018年度はこれらの縦断調査の2波目調査を実施し、1波データと合わせた分析を行った。 3歳~小学校3年生の保護者を対象としたWeb調査では、1・2時点ともに最近1カ月の間に子どもがデジタルゲームをプレイしていると回答した500名を分析の対象とした。その結果、レーティング確認行動が攻撃性を低める可能性が示唆されたが、依存や「子どもの強さと困難さアンケート」で測定された子どもの適応には有意な影響は見られなかった。また、ゲームで遊ぶ時間や内容を制限する制限的介入が攻撃性やいくつかの子どもの適応を高める可能性が示された。 小4以降の小学生、中学生、高校生に対する質問紙調査では、3444名の回答を得た。攻撃性と暴力に対する規範意識により測定される攻撃的傾向、さらに依存傾向について、レーティング別の遊んだゲーム本数、ゲーム利用時間やゲーム内の交流経験の影響を検討した。攻撃的傾向については、小学生では全年齢向けのソフトで遊ぶほど規範意識の一部が下がる結果が見られた。また、小、中学生でゲームの利用時間が長いほど攻撃的傾向のいくつかを高める可能性が示される一方で、高校生では他プレイヤーに暴力的行為をほめられるほど規範意識が低下する可能性が示された。依存傾向については、全体として利用時間が長く、また、交流経験が多いほど依存傾向が強くなるという影響がみられた。親の介入行動の高群、低群の比較したところ、高校生では使用制限介入高群で暴力をほめられた経験による攻撃的傾向への効果は見られなかった。小学生では使用制限介入やセキュリティ設定低群で交流経験による依存傾向を高める効果が見られた。
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