研究課題/領域番号 |
16H03728
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会心理学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
平石 界 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50343108)
|
研究分担者 |
池田 功毅 中京大学, 心理学部, 助教 (20709240)
中西 大輔 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (30368766)
横田 晋大 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (80553031)
|
研究協力者 |
井川 純一
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | リスク認知 / 風評被害 / 科学リテラシー / 認知バイアス / 行動免疫 |
研究成果の概要 |
福島第一原発事故を契機とする福島県産作物に対する「風評被害」は、事故発生後数年を経てもなお完全には消えていない。その背後には、放射能関連リスクにかんする人々の態度・認知・情報ソースの信頼性・感情反応などが、互いに強い相関関係を持ちつつ全体として否定的な方向に動くという、他リスク要因(火事、病気、地震など)とは異なった特徴を持つためであることが示唆された。そうしたリスク認知の背後には、危険を見落とした際(第二種の過誤)の損失を避けるバイアスが働いていること、そのために食品に関する批判的思考スタイルを持つことが、却って福島県産作物への買い控えにつながる可能性が示された。
|
自由記述の分野 |
社会心理学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本列島は地震多発地帯に位置し、同時にその上に多くの原子力発電所を持つ。地震が原発近縁で生じることで、「風評被害」が再び生じる可能性は決して低くない。科学的な安全宣言にもかかわらず社会が「過剰」反応を示す場合、その原因が社会の側の問題(リテラシーの欠如)に帰せられることは少なくない。しかし本研究の成果は、社会の反応の背後には、第一種の過誤による損失(風評被害)を代償として、第二種の過誤による損失(健康被害)を避けるという、合理的な心理過程が存在することを示唆する。本研究によって、将来生じうる社会的問題に備える基礎的知見を蓄積することができた。
|