研究課題/領域番号 |
16H03733
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中川 敦子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90188889)
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研究分担者 |
鋤柄 増根 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80148155)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 注意 / 気質 / 縦断研究 / 協調運動 / 極低出生体重児 |
研究実績の概要 |
・子どもの健康と環境に関する全国調査(環境省エコチル調査)において42か月齢の追加調査は継続中であるが,326組の親子の結果を分析した。幼児の気質の指標としてChildhood Behavior Questionnaire (CBQ) 短縮日本版、協調運動発達の指標としてDevelopmental Coordination Disorder Questionnaire (DCDQ) の幼児版(Little-DCDQ)を用い、それぞれのスコアの相関を調べた。その結果、特に自己制御性(Effortful Control)が協調運動機能の各特性と正の相関関係にあることが分かった。今後は子どもの発達を有機的なものとして理解や研究を進めていくことが重要であり、子どものEffortful Controlを高める育児や生育環境が、子どもの協調運動の発達を向上させる可能性が示唆された。 ・Gaze Finderについては,一般乳児群の月齢6か月,12か月,18か月,24か月時点での結果をまとめると,月齢6か月児は,幾何学模様とヒトのどちらをより注視するかという「選好動画」におけるヒトへの注視や,「ヒトの口がぱくぱく動く動画」でヒトの口に注視することが他月齢に比べて弱いことが分かった。また,対象児全体としてはヒトの口が動いたり話しかけられたりする際にヒトの口に注視が向かいやすい傾向が認められた。一方,月齢12か月の極低出生体重児では,「口がぱくぱく動く動画」に対する目への注視割合は一般乳児群と差はあまりないが,それ以外についてはいずれも一般乳児群より注視割合が低く,極低出生体重児群では一般乳児群に比べて注視する先が不安定な傾向にある可能性が示唆された。 ・注意課題を用いた眼球運動の計測においては,乳児においても恐怖刺激からの注意の解放が難しいことを示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
環境省エコチル調査以外については,協力者の引っ越しなど中断ケースを見込んで少し多めの協力者を計画していたが,その数に至るまでやや時間を要した。そのため,全体のデータを取り終えるのが,計画よりも遅れる。
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今後の研究の推進方策 |
・環境省エコチル調査における42か月齢追加調査を引き続き行い,今年度は縦断研究としての学会発表も積極的に行う。 ・注意解放パラダイムを用いた眼球運動計測も前年度に引き続いて,縦断データを集積していく。 ・ゲイズファイダによる極低出生体重児のフォローも継続して,今年度は発達的な推移を一般乳児と比較検討する。
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