• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

EMAを用いたボディイメージと健康行動に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H03738
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

大森 美香  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50312806)

研究分担者 菊地 裕絵  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医長 (10581788)
山崎 洋子  お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 特任アソシエイトフェロー (30801980)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード身体不満足 / 経験サンプリング / EMA / ボディイメージ / 健康行動
研究実績の概要

身体不満足感は、極端なダイエットや情動摂食など食行動の問題や喫煙など健康行動の背景要因とされている。青年期女子のダイエットの問題とされてきたが、近年は、その他の集団と課題が注目されている。例として、青年期および成人期男性の壮健願望と筋肉増強剤使用、肥満児の食行動、前思春期の子どものボディイメージとダイエット行動の関連である。自己の身体のとらえかたが、社会文化的な文脈でどのように規定され、健康関連行動に結びつくのか。また、日常生活で経験される感情が行動にどのように影響を与えるのか。蓄積された従来の研究を手がかりに、系統的・包括的な解明を進める必要がある。
日常生活のなかで行動・経験・心理状態を測定する方法に、携帯端末をもちいたEMAによる測定がある。従来の自己報告式質問紙法を用いてとらえられてきた健康行動についても、生態学的妥当性を備えた方法でその関連を再検証することは、実生活における健康行動の形成要因理解において、意義あることと考えられる。本研究により、従来の方法論で得られた知見を拡張し国内外への発信が期待でき、まだ発展途上のEMAの精錬をとおして、心理学研究の新しい方法論を提供できるものと考えられる。本研究の目的は、従来の質問紙調査法による研究方法の限界をふまえ、生態学的妥当性を備えた測定方法を用いて、以下の3点を明らかにすることにある: 1)感情、認知、ボディイメージ、健康関連行動の関連性, 2)対人的相互作用、社会文化的要因のとりこみがボディイメージに与える影響の過程, 3)生態学的妥当性を備えた、身体不満足改善のための介入方法の検討。
2017年度は、2016年度に実施した予備調査の結果の分析、EMAを用いた調査計画の見直しと実施、2016-2017までの研究成果の発信を計画した。日内で、大学生女子の身体不満足が高まる、時間帯、場所、きっかけが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2017年度は、2016年度に行った予備調査の解析・調査設計の精緻化・予備的分析、2016-2017の予備的な研究成果の発信を行うことができた。EMAを用いるにあたり、調査てつづき、データ収集、携帯端末管理、分析方法に習熟する必要がある。2017年度は、分析に必要なintensive longitudinal analysisのワークショップへの参加を通して、分析方法の習得に努めた。EMAを用いた実査を行い、64名からのデータを収集することができた。また、予備調査の見直しにより、調査に対するコンプライアンス率を高めることに成功した。より緻密な分析をするにあたり、必要な統計パッケージと分析方法の両方についての専門性や、調査デザインに見合うサンプルサイズのシミュレーションの必要性があり、分析については海外の専門家のコンサルテーションを受けることとした。一部、予算の繰越を行うことで、より緻密な研究が可能になり、投稿にむけた準備が進められるにいたった。

今後の研究の推進方策

研究成果の学会発表を進めるとともに、投稿準備を行っている。2017年度に収集したデータについて、マルチレベル分析のひとつであるintensive longitudinal data analysisを用いて、身体不満足度に及ぼす個人内/個人間要因を明らかにする。
今回の結果を発展させ、大学生女子以外の集団を対象とした調査、健康行動に影響を与える要因をさらに探索すべく、新規調査を準備する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Northeastern University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Northeastern University
  • [雑誌論文] 勤労者の日常生活下における行動、心理、生理、環境情報の統合連続モニタリングと大規模データベースの利活用2017

    • 著者名/発表者名
      志村 広子, 中村 亨, 金 鎭赫, 菊地 裕絵, 吉内 一浩, 山本 義春
    • 雑誌名

      ヒューマンインタフェース学会論文誌

      巻: 19 ページ: 163-174

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肉を食べることとモラル・ジレンマ2017

    • 著者名/発表者名
      大森美香
    • 雑誌名

      味の素文化研究所 Vesta

      巻: 108 ページ: 44-47

  • [学会発表] 健康志向・美容志向とfat talk従事頻度の関連の検討2017

    • 著者名/発表者名
      高村愛・山﨑洋子・大森美香
    • 学会等名
      日本健康心理学会第30回記念大会
  • [学会発表] fat talkが身体満足度に及ぼす影響 -daily diaryによる検討-2017

    • 著者名/発表者名
      高村愛・山﨑洋子・大森美香
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [学会発表] An EMA investigation of relationships among emotion, fat talk, and state body dissatisfaction.2017

    • 著者名/発表者名
      Omori, M., Takamura, A., Yamazaki, Y., Takahashi, Y., Nakamura, T., Kikuchi, H., Hiraide, M., Yoshiuchi, K., & Yamamoto, Y.
    • 学会等名
      2017 EDRS
    • 国際学会
  • [学会発表] 先行する心理社会的因子と食事摂取量の関連:computerized EMAを用いた評価2017

    • 著者名/発表者名
      稲田修士, 菊地裕絵, 吉内一浩
    • 学会等名
      第58回日本心身医学会学術講演会
  • [学会発表] 心拍変動を用いた日常生活下のストレスの客観指標の開発2017

    • 著者名/発表者名
      菊地裕絵, 金鎭赫, 富田吉敏, 吉内一浩, 安藤哲也
    • 学会等名
      第58回日本心身医学会学術講演会
  • [学会発表] EMA用ストレス評価尺度の開発:個人内比較における心理測定特性について2017

    • 著者名/発表者名
      菊地裕絵, 吉内一浩, 金鎭赫, 富田吉敏, 山本義春, 安藤哲也
    • 学会等名
      第22回日本心療内科学会学術大会
  • [学会発表] 勤労者における起床時の不安・抑うつ気分に対する睡眠時間、前日就寝時の不安・抑うつ気分、曜日の影響2017

    • 著者名/発表者名
      志村広子, 中村亨, 菊地裕絵, 吉内一浩, 山本義春
    • 学会等名
      第10回日本不安症学会学術大会
  • [図書] 「第12章 肉食行為の心理学」『肉食行為の研究』2018

    • 著者名/発表者名
      大森美香 (野林厚志 編)
    • 総ページ数
      496
    • 出版者
      平凡社
    • ISBN
      978-4-582-83770-4

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi