研究課題
本研究は、わが国における認知行動療法の質保証及び均てん化と、それを担保する養成プログラムの最適化を図るために、認知行動療法の実践家に必要とされるコア・コンピテンスを解明するとともに、コア・コンピテンスを育成するための教育研修内容を検討することである。本年度は、臨床心理士養成大学院修士課程に在籍する学生の認知行動療法に関するコンピテンスについて明らかにするとともに、英国の認知行動療法トレーニング養成機関に在籍する学生のコンピテンスとの比較によって我が国における認知行動療法トレーニングの在り方を検討した。まず、これまでの研究成果として開発された認知行動療法コンピテンス尺度を用いて、日本の大学院生を対象とした実態調査を行い、自己評価および他者評価による実態把握と、縦断調査による教育効果について検討した。その結果、自己評価においては、カウンセリング場面で想定されるようなコンピテンスの活用や、それに伴うスーパービジョンの活用に関する項目は比較的高かったが、理論や原理に関するコンピテンスの評価が低く、十分に知識の定着に至っていない可能性が示唆された。また、自己評価および他者評価の比較では乖離が見られ、大学院生は自分の評価を低く見積もる傾向があることが示唆された。さらに、認知行動療法に関するコンピテンスの日英比較においては、認知行動療法コンピテンスの全項目で日本の学生は有意に低い得点を示した。認知行動療法はメンタルヘルスの問題に対する心理療法のゴールドスタンダードであり、本邦における認知行動療法コンピテンス向上の更なる機会提供が重要であると考えられる。最後に、本研究課題の総括として、我が国における認知行動療法トレーニングの在り方が検討され、その指針となる認知行動療法トレーニングガイドラインを策定し、一般社団法人日本認知・行動療法学会の公式Webページに掲載した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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