研究課題/領域番号 |
16H03743
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
島井 哲志 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (30136973)
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研究分担者 |
堀田 千絵 関西福祉科学大学, 教育学部, 准教授 (00548117)
岩原 昭彦 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30353014)
福田 早苗 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (50423885)
竹橋 洋毅 関西福祉科学大学, 心理科学部, 講師 (70583871)
松中 久美子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 准教授 (90368457)
有光 興記 関西学院大学, 文学部, 教授 (10341182)
津田 恭充 関西福祉科学大学, 心理科学部, 講師 (80635665)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポジティブ心理学 / 介入研究 / ファシリテータ養成 / 科学的エビデンス / 強み / 幸福感 / 人生の意義 / エンゲイジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ポジティブ心理学介入(positive psychology intervention; PPI)のエビデンスを構築するための基盤を整備することである。ポジティブ心理学の浸透に伴って、これを様々な場面で活用したPPIが発展してきており、今後は心理学の応用実践領域での標準的な選択肢になってくることが考えられる。コクランライブラリーに収録されているPPIのシステマティックレビューで介入効果が明確に示されているが、介入方法などの十分な標準化には至っておらず、標準的方法によるエビデンスが確立しているといはいいがたい。ここでは、ビデンスのあるPPIを構築するために必要な準備や環境の整備を行うことで、PPI研究の基盤を形成してきた。2016年度から開始した内容としては、教材の開発(「つよみカルタ」の作成)や、ワークブック(APAの指導者用ワークブックを翻訳した「ポジティブ心理学を味わう」2017年、北大路書房)の出版を行い、2017年のストレス学会時に、学会員外の一般の希望者を受け入れるファシリテータの養成のためのワークショップを開催した。この内容については、ストレス学会の学会誌「ストレス研究」に掲載予定である。これらの活動と並行して、PPIの科学的基盤を充実させるための研究活動を行い、成果についてはヨーロッパ健康心理学会や日本心理学会などで報告している。また、PPIを実施できる人たちのネットワークづくりを積極的に行っており、ポジティブ心理学の研究会(日本心理学会の研究会、看護師の研究会、管理栄養士の研究会)で発信することで、次の計画であるPPIのRCTを行うための組織の基盤づくりを行ってきた。これらの活動については、科学研究費の成果を発信するためのホームページを開設して掲載し、現在、ポジティブ心理学と大学というキーワードでの検索でトップに表示され多く活用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度には、開発してきた教材やワークブックを活用して、研修会やワークショップを開催してきた。また、教育場面でのPPIであるポジティブ教育についても、研究と実践を行い、この成果の一部は、2018年度の教育心理学会での3件の報告をする。実施した研修会は、①健康心理学と公衆衛生(石川県精神保健福祉協会、2017.6.17)、②ポジティブ心理学を活かした「強み」介入;つよみカルタ活動とそのねらい(早稲田大学人間総合研究センター・シンポジウム, 2017.7.9)、③子どものレジリエンシーを育てる(第26回JKYBライフスキル教育・健康教育ワークショップ、2017.7.22)、④ポジティブ心理学を看護教育に生かす (目白大学看護学部, 2017.8.4)、⑤強みを活かしてレジリエンスを支える (大分県立三重総合高校、2017.8.18)、⑥健康と生きがいづくりのカギは地域のつながりにあり!(川口市老人大学、2017.10.27)、⑦ポジティブ心理学介入の発展と実践(山口県立大学看護栄養学部、2017.10.28)、 ⑧ポジティブ心理学から見た「人間の食欲・食べる・食物選択要因の形成と循環」(食生態学実践フォーラム、2017.11.5)、⑨ Character strengthsを用いた介入のために(日本心理学会ポジティブ心理学研究会、2017.12.9)、⑩こどもの<強み>を育てる~レジリエンシー形成に向けて~(第4回JKYBライフスキル教育研究会、2018.2.4.)、 ⑪ポジティブ心理学を生活に生かす(博愛社児童協議会、2018.2.6)、⑫ポジティブ心理学の現状と看護学領域での応用への期待(ポジティブ心理学・看護学研究会、2018.3.3)などである。これらの研修を通じて、ポジティブ心理学の介入に興味のある多くの人と連携することができるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度であるので、得られた成果を取りまとめることと、その研究の知見をできるだけ広く公表することが第一の目標となる。現在の予定としては、国際学会発表5件、国内学会のシンポジウム5件(高高齢化医学会、健康心理学会、社会心理学会、日本心理学会、公衆衛生学会)で、そのほかにも学会発表を予定している。本年度は、共同研究者も学会発表や論文化を中心に活動する計画である。実績としての学術論文は、別資料の通り、2017年度は5件(うち2件はシンポジウム報告書)であったが、現在、ファシリテータ養成のためのワークショップの内容に関する実践論文や、ポジティブ心理学を用いたストレスマネジメントに関する論文が刊行予定(6月刊)であり、今後も、成果を学術論文として情報発信していく。また、2017年度には、強みに関する心理尺度を開発に着手したので、その妥当性や関連要因を検討する。これは、これまでに開発してきた教材に加えて、効果評価にも用いることができることが期待できるものである。これらの成果についても2018年度に発表予定である。これらの情報発信に加えて、いよいよエビデンスを提供するための実証研究を実施する研究計画について、研究費申請をする予定であり、申請のための研究組織を作る準備を行う予定であり、海外の著名な研究者にも協力をお願いし、また、心理学だけではなく、医療・看護などの健康科学の領域での研究組織ができるように計画している。
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