研究課題
児童思春期でのいじめ被害は,思春期以降に幻覚様体験を体験するリスクを上昇させる.思春期のいじめ被害は,解離症状を経て,幻覚様体験につながることが理論的に示唆されているが,実証データは乏しく,生理的基盤も不明である.本研究の目的は,大規模思春期縦断コホートデータを用いて,①思春期のいじめ被害が,解離症状を媒介して幻覚様体験につながること,②いじめ被害と幻覚様体験を媒介する生理的基盤を見出すこと,以上の2点である.平成28年度は,当初計画に基づいて研究を進め,①Tokyo TEEN Cohort10歳時および12歳時調査データのデータベース整備を実施し,N=3007の縦断データベース(追跡率92.5%)の作成が完了した.縦断データベースを用いて,いじめ被害と幻覚様体験の縦断的関連及び解離症状の媒介効果についての解析を開始した.①と並行して,②12歳時に取得したバイオマーカーの解析を開始し,現在複数のバイオマーカーについて解析を進めている.一部バイオマーカーについては,1000検体の解析を終了した.③Tokyo TEEN Cohort調査協力世帯に対し14歳時追跡調査を開始した.思春期一般人口における解離症状のバイオマーカーをより詳細かつ多面的に探索するために,Tokyo TEEN Cohort全体サンプルより,サブサンプル(N=140)を抽出し,集中的にバイオマーカーを取得する研究を開始した.平成29年度以降は,引き続き①~③を進め,国際誌へ論文を投稿する.
2: おおむね順調に進展している
①Tokyo TEEN Cohort10歳・12歳縦断データベース構築が予定通り完了し,解析が進んでいること,②バイオマーカー解析を開始し,順調にデータベース化が進んでいること,③Tokyo TEEN Cohort14歳時調査を開始し,解離症状と関連するバイオマーカーの探索も順調に進んでいることから,計画は順調に進展していると言える.
引き続き,①縦断データ解析による解離症状の媒介効果の解析,②バイオマーカーの解析とデータベース構築,③Tokyo TEEN Cohort14歳時調査の実施を計画に沿って進めていく.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
BMJ Open
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Schizophr Res Cogn
巻: 4 ページ: 18-23
http://dx.doi.org/10.1016/j.scog.2016.04.001
http://www.igakuken.or.jp/mental-health/