研究課題
児童思春期でのいじめ被害は,思春期以降に幻覚様体験を体験するリスクを上昇させる.思春期のいじめ被害は,解離症状を経て,幻覚様体験につながることが理論的に示唆されているが,実証データは乏しく,生理的基盤も不明である.本研究の目的は,大規模思春期縦断コホートデータを用いて,①思春期のいじめ被害が,解離症状を媒介して幻覚様体験につながること,②いじめ被害と幻覚様体験を媒介する生理的基盤を見出すこと,以上の2点である.平成29年度は,平成28年度に引き続き当初計画に基づいて研究を進め,①Tokyo TEEN Cohort10歳時および12歳時調査データの縦断データベース整備を完了し,データセットを作成した上で解析を進めた.現在論文執筆中である.②12歳時に取得したバイオマーカーの解析データベース化を完了し,①で整備した縦断データベースとの連結を完了した.バイオマーカーといじめ被害・解離症状・幻覚様体験の関連について関連解析を進めている.③Tokyo TEEN Cohort調査に協力した世帯を対象とした追跡調査を実施した.追跡調査では,H28年度に着手した14歳時本調査(N=3000)の3分の2を完了し,現在継続中である.また,コホート本体より,幻覚体験を経験しているサブサンプル(N=300:14歳時点)を抽出し,尿検体等よりバイオマーカーを取得した.予備的解析において,解析したバイオマーカーの一部の指標と,解離症状との関連を見出した.サブサンプルは,H30年3月より1年後縦断調査を開始し,2時点データを取得して因果関係に踏み込んだ解析を今後実施する予定である.平成30年度も引き続き①~③を進め,国際誌へ論文を投稿する.
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた計画通り,Tokyo TEEN Cohort調査に協力した世帯を対象とした追跡調査を実施し,本調査の3分の2,サブサンプル初回調査(N=300)が完了している.尿検体解析も順調に進んでおり,予備的解析をほぼ完了した.10歳12歳時縦断データを用いた予備解析もほぼ完了しており,論文執筆を開始できたため,概ね順調に進展していると言える.
引き続き,①縦断データ解析による解離症状の媒介効果の解析と論文化,②解離症状の基盤となるバイオマーカー解析と論文化,③Tokyo TEEN Cohort14歳時調査及びサブサンプル調査の実施を計画に沿って進めていく.
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Schizophrenia Research
巻: 195 ページ: 149~153
http://dx.doi.org/10.1016/j.schres.2017.10.019
BMJ Open
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