研究課題
記憶抑制研究については,意図的抑制が記憶過程に与える影響とともに他の属性(感情価,潜在記憶課題など)への影響の検討を行った。また,意図的抑制時に右前頭前野と海馬および扁桃体を含む前頭頭頂ネットワークが関与,および精神的健康度と関連している可能性が見いだされた。さらに詳細な分析を進めている。記憶の未来思考に関する研究では,「未来思考」の脳内メカニズムに関する脳波および自律神経の同時測定実験を実施した。思考内容を限定せずに未来方向への思考を示唆するだけで,かなり早期の段階で特有な脳活動があることが示された。そして,その脳活動は自律神経活動を介して,心臓などから求心性の信号によって修飾されていることが示された。記憶のコントロールが他の心理的側面に与える影響として,探索行動における意思決定のモデル火を検討した。そこでは,単純化した探索課題で神経機構を検討するための準備として行動課題の検討を進めた。神 経機構研究で用いられている単純な採餌課題と、時間割引研究で用いられる継時選択課題を作成してパフォーマンスを比較したところ 、採餌課題では時間割引が生じにくいことを見出した。また,探索行動の変容メカニズムについても検討を進め,日本人と北米人で視覚探索の仕方が異なることを発見した。この結果は、長期経験によって探索行 動が変容することを示している。当該年度は、学習や経験による探索行動の変容メカニズムを明らかにするために、University of Br itish Columbiaと共同で新たな実験を行い、複数の種類の探索課題を続けて行うと、探索行動が質的に変化することを見出した。
2: おおむね順調に進展している
記憶の抑制,ワーキングメモリと制御,制御と脳内基盤・身体との関連,視覚的探索・注意というテーマで研究を進めている。一部,倫理審査に時間を要しているものもあるがおおむね順調に進んでいる。
2年目は,1年目の研究成果を分担者で共有し,異なった研究領域での成果の共有に努め,新たな研究発展を目指したい。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 12件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 12件、 招待講演 1件)
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