研究課題/領域番号 |
16H03763
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (70222411)
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研究分担者 |
池田 雅則 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60609783)
犬塚 典子 京都聖母女学院短期大学, 生活科学科, 教授 (70400471)
柴原 真知子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40625068)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 専門職 / 医療専門職 / 生涯キャリア / キャリアヒストリー / ジェンダー / 医学教育 / 看護教育 / 医療者教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、医学専門領域(主に医学、看護、理学療法、薬学など)における女性医療専門職の生涯キャリアに向けた研究/支援実践に寄与すべく、研究・実践の両側面を備えた「キャリアヒストリー法」の開発構築に、共同で取り組むものである。 初年度は7回の研究会を開催した。研究メンバーの問題関心や実践経験を踏まえ、医師・看護師・薬学・管理栄養士・言語聴覚士など各領域のキャリア形成・キャリア支援に関わる内外の調査研究の動向を各々が調査して報告し合い、キャリアヒストリー研究の共通基盤となる研究課題と論点の抽出に努めた。また来年度に取り組むインタビュー調査に向けて、基本的な研究枠組と調査方法、調査対象などについて議論し、大枠の調査計画を作成することができた。海外調査では、イギリスの医師養成プログラム(Queen Mary University of London)、看護師研修プログラム(NHS, London)、医師キャリア悉皆調査(医療系キャリア研究所UKMCRG、Oxford University)、および、専門職のキャリアに関わる研究・実践の蓄積が顕著なカナダの医療者教育の現場(Ontario看護カレッジなど)に赴き、情報収集と実態把握を行った。これらを通して本研究に関わる文化的要因が明確化され、日本の医療専門職のキャリアの実際を相対化してとらえる視点がを得られ、またインタビュー調査に向けての留意事項が明確になった。研究成果としては、以上の作業の記録をもとに、複数の調査報告・研究ノートを準備中である。来年度は以上を踏まえ、実地のインタビュー調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7回の研究会を通して、医師、看護師、管理栄養士などの養成・教育に携わり、教育学研究においても専門分野が異なるメンバーが、各々の領域に関連する先行研究や調査の動向、実践的課題などに関わる共通認識を培い、多面的に検討できる体制、および、相互の関係性を構築することができた。合わせて、海外文献や海外調査を踏まえ、日本の医療専門職におけるキャリアの現状と諸課題が浮き彫りになったため、調査計画の骨子が明確になったことが指摘できる。さらに、今後のキャリアヒストリー研究の遂行にあたって、内外の有用なリソースを見出すことができ、次年度のインタビュー調査の実施に向けての基盤形成が一定程度なされたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の先行研究の動向や論点に関わる研究ノートの取りまとめからスタートし、当初の予定通り、女性医師と女性看護師を対象にインタビュー調査を行う。まず、5月の研究会において具体的な調査計画を検討し、対象者の措定を行う。国内調査は、大学関係者以外の中堅女性医師および中堅女性看護師のうち、今日まで勤務を継続した事例、何らかの理由で中断した事例、それ以外のパターンの事例、の3種類の対象者各2~3人に対し、メンバーが二人一組で実施する。女性医師については、診療科を問わず、病院勤務者とする。調査終了後は、インタビュー調査結果を整理・データ化し、多面的考察を行う。そのうえで、女性医療者の文脈におけるキャリアヒストリーのモデル化・構造化を行うと同時に、医療専門職のキャリアの特徴や独自性などを明確にするために、同じ古典的専門職に属する法律専門職と比較検討を行う。また、後半期にイギリス・カナダで聞き取り調査を行い、比較対照の手がかりとする予定である。
*研究代表者・分担者の一人が2017年4月に職場を異動したために、研究スタイルの若干の変更や軌道修正が必要となると思われたが、研究会も回数は若干減るとはいえ、新たな研究分担者も得られ、確実に関西を足場において開催できる見通しとなった。今後は、スカイプ会議やグーグルハンドアウトの会議など、ICTやSNSなどの新たな意思疎通の補助手段をも活用しながら、さらに内実の伴った研究活動を続けていく予定である。
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