研究課題/領域番号 |
16H03770
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
北野 秋男 日本大学, 文理学部, 教授 (50169869)
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研究分担者 |
高橋 寛人 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10188047)
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 助教 (10452327)
高橋 哲 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)
澤田 敬人 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (20254261)
佐藤 千津 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20271356)
村山 詩帆 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30380786)
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30432701)
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学力テスト / 学力調査 / テストガバナンス構造 / 教育ガバナンス構造 / 学力テスト体制 / 学力テストの基盤形成 / 諸外国の学力テスト体制 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績としては、第1には、日本比較教育学会第53回大会(東京大学)「ラウンド・テーブル」(RT)において、研究分担者の佐藤 仁(福岡大学)が中心となって「各国の学力テストとスタンダードを軸とする教育ガバナンス構造の実態」と題する研究成果の報告を行った。このRTでは、カナダ、韓国、ニュージーランド、ノルウェーを取りあげ、学力テストとスタンダードが教育ガバナンス構造の中でどのように機能しているかを比較検討した。 第2には、日本教育学会第76回大会RT(桜美林大学)において、研究代表者の北野秋男(日本大学)が中心となって「学力テスト体制の「現状」と「課題」-全国調査の結果分析から-」と題する研究成果の報告を行った。このRTでは、2007年の「全国学力・学習状況調査」の開始から10年目にあたる2016年に「学力テスト体制」と呼ぶべき諸変化を定量的に解明すべく、全ての都道府県及び市区町村教育委員会を対象として、ローカルな教育行政過程において実施される学力テスト・調査の実施状況と実施体制、方法および内容、導入の経緯、利活用の状況、効用と課題の5つの大項目から構成する全国調査を実施し、その集計結果と特色などを報告した。 第3には、この科研費に参加する研究分担者・協力者が一堂に会する全体研究集会(静岡県立大短期大学部など)を2017年12月26 日~12月28日に開催し、学力テストに関する特別講演3件、個別研究報告7件などを行った。また、参加者全員で各国の学力テストに関する類似性や差異性を確認しつつ、学力テスト実施の基盤形成の問題に関する意見交換を行った。また、合わせて「日本部会」「アメリカ部会」「諸外国部会」の会合も別に開催し、それぞれの部会ごとに学力テストの基盤形成の問題を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の進捗状況は予想以上に進展し、着実に研究業績の蓄積がなされ、かつ研究の視点も定まりつつある。本研究の第一課題は、日本・米国・諸外国における「ナショナル」と「ローカル」レベルにおけるテスト・ガバナンスのあり様を実証的に解明することである。日本に関しては、2016年度に全国調査を実施し、その結果分析を2017年度に実施し、その成果を日本教育学会第76回大会RT(桜美林大学)で報告した。米国に関しては、個別の州を取り上げた研究だけでなく、米国全体のカリキュラムや評価のスタンダード化の動向を解明した。諸外国の場合は、カナダ、韓国、英国、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、オーストラリアなどのテスト政策の分析を行った。 第二課題は、各国の学力テスト政策の実施を可能とする政治的・経済的・社会的諸要因、とりわけ巨大企業財団やテスト業者の支援・関与の有無を検証し、公教育における「市場化・民営化」の浸透度を解明することであった。日本の場合は、2016年度の全国調査の分析の際にテスト業者の関与の度合いを解明した。米国の場合には様々な企業財団のテスト政策や教育改革への関与の実態を解明し、研究蓄積を行った。そして、日米のみならず諸外国における公教育における「市場化・民営化」の浸透度を比較研究した。 第三課題は、世界的な学力向上政策に基づく学力テストの浸透・普及という潮流の中で、各国のテスト・ガバナンスを比較検証することであった。この点に関する研究成果は2018年度の日本比較教育学会第54回大会(広島大学)RTにおいて、研究成果の一部を報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、第1には、研究分担者の佐藤 仁(福岡大学)が中心となって2018年度の日本比較教育学会第54回大会(広島大学)RTにおいて、テスト・ガバナンス構造の国際比較として、ハイステイクス(結果が児童生徒や学校等に大きな影響を及ぼす)をキーワードに、テスト・ガバナンス構造の解明に関する報告を行う。取り上げる国は、日本、アメリカ、マラウイ(アフリカ)を予定し、各国のテスト政策の実態に基づいて比較研究を行う予定である。 第2には、第77回日本教育学会(宮城教育大学)RTにおいて、研究代表者の北野秋男(日本大学)が中心となって「地方学力調査体制の実態と構造-戦後から今日までの都道府県学力調査の変遷-」と題して、戦後から今日までの都道府県教育委員会(教育研究所など)による地方学力調査の実施状況を歴史的に解明しつつ、その学力調査の特質を時期区分する予定である。また、特色ある地方学力調査を分類・整理し、全国の地方学力調査の構造を解明することも試みる。 第3には、この科研費に参加する研究分担者・協力者が一堂に会する全体研究集会(場所は未定)を2018年の8月以降に開催し、学力テストに関する特別講演、個別研究報告、学力テストの基盤形成に関する比較研究などを行い、参加者全員での討論を通じて、テストガバナンスの構造的分析を行う予定である。 以上のような研究活動と成果は、2019年3月までに研究成果報告書として刊行し、関連学会や関係する研究者などに配布し、意見交換なども行いたいと考える。
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