研究課題/領域番号 |
16H03772
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
平塚 眞樹 法政大学, 社会学部, 教授 (10224289)
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研究分担者 |
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10190761)
横井 敏郎 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (40250401)
岡 幸江 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50294856)
南出 吉祥 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (70593292)
原 未来 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90760603)
石野 由香里 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 講師(任期付) (20734081)
乾 彰夫 首都大学東京, 人文科学研究科, 客員教授 (90168419)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 若者支援 / ユースワーク / Social Pedagogy / 日欧比較 / 実践記録 |
研究実績の概要 |
本研究では、若者支援の社会環境に目を向けて、若者支援実践における「場をつくる」教育的価値の解明と、若者支援の「場をつくる」うえで必要な専門性、さらにはその専門性を担保する公共的仕組みのあり方を明確化することを目的としている。 本研究の国内フィールドは、さっぽろ青少年女性活動協会、NPO文化学習協同ネットワーク、エルムアカデミー、京都市ユースサービス協会の4機関であり、海外では、イギリス(In Defence of Youth Work)、フィンランド(ヘルシンキ市青少年局)、デンマーク(オーフス大学Social Pedagogy研究者)における共同研究者・実践者の協力を得て実施している。 2018年度においては、第一に、‘場をつくる若者支援実践’の教育的価値明確化を目的とした調査を継続し、①イギリスにおける若者を対象としたヒアリング調査を完了した。当初予定していた日本とフィンランドにおける調査は19年度に実施予定である。また、②若者支援実践者のヒアリング調査を、イギリス、フィンランドに続き、日本でも実施・完了した。イギリスについては、2017年度に続き、イングランドと異なる特性をもつスコットランドにおける補充調査をおこなった。 第二に、‘場をつくる若者支援実践’を支える社会的条件の明確化作業を継続し、フィンランド、デンマーク、イギリスにおける調査結果の整理と、日本との比較分析をおこなった。その成果は2019年度に学会報告(日本教育学会)をおこなう予定である。 第三に、若者支援実践の記録化に焦点をあてた電子Journalを編集製作し、公開への準備を進めた。またその内容をもとに、国際学会(Transformative Youth Work International Conference 開催地イギリス)における報告をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの経過で、研究計画でもうけた、第一の課題、‘場をつくる若者支援実践’の教育的価値明確化を目的とし、若者ヒアリング・実践者ヒアリングから構成される調査を、日本、イギリス、フィンランドで実施し、第二の課題、‘場をつくる若者支援実践’を支える社会的条件の明確化のための調査として、イギリス、フィンランド、デンマークにおいて、実践者育成・研修機関の社会的制度、同業者団体、労働組合、評価機関への訪問調査を実施、さらに第三の課題として、若者支援実践者を対象として想定したテキスト(電子ジャーナル)の刊行準備をおこなってきた。 デンマークとフィンランドにおける若者ヒアリングの実施がまだ残っているが、概ね順調といってよい進行と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度2019年の研究計画は以下の通りである。第一に、‘場をつくる若者支援実践’の教育的価値の明確化を目的とした調査・考察をとりまとめる。これまで日本、イギリス、フィンランドをフィールドとして実施してきた、若者支援現場の実践者ならびに当事者である若者を対象としたヒアリング調査を完了し、その後、これまでの調査結果の整理と考察をおこない、翌年度における研究成果報告を準備する。 第二に、‘場をつくる若者支援実践’を支える社会的条件の明確化を目的に、これまで行ってきたフィンランド、デンマーク、イギリスにおける調査経過を整理、分析し、国内学会(日本教育学会)における共同報告を行い、学術的世界に向けた研究発信を行う。考察の観点としては、(1)教育専門性の形成(実践者育成、研修機関の社会的制度・システム)、(2)教育専門性を担保する社会的装置(ユースワーク全国協議会、労働組合、評価機関などの社会的制度・システム)を考えている。 第三に、若者支援の実践者をおもな読者として想定し、若者支援実践の記録化に焦点をあてた電子ジャーナルを刊行し、これまでの研究成果の社会的発信を試みる。このジャーナルは、今後も隔年刊行する予定である。同時に、このジャーナル製作を基軸に、昨年度国際学会で研究報告をおこなった「Counter Documentation Model」を研究的に深化するための今後の研究計画を準備する。 第四に、これまで本研究のイギリスにおけるフィールドであり、同時に研究協力者でもあるユースワーク研究者Tania de Croix(Kings College)と、シニアユースワーカーColin Brent(ロンドン市Bollo Youth Centre)を招聘し、「イギリスのユースワーカーと考える、子ども・若者が育つ場づくり」セミナーを、東京、札幌、京都を会場として9月に開催する。
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