研究課題/領域番号 |
16H03780
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
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研究分担者 |
立石 慎治 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 研究員 (00598534)
安部 保海 広島大学, 大学経営企画室, 研究員 (20531932)
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
堀田 泰司 広島大学, 国際センタ-, 教授 (40304456)
大場 淳 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (50335692)
白川 優治 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (50434254)
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80261759)
羽田 貴史 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90125790)
渡邉 聡 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90344845)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高等教育 / 組織論 / 経営学 / 連携・統合 / 規模・範囲 |
研究実績の概要 |
今年度は以下の研究を進展させた。①大学組織に関する基礎研究の一環として、昨年度に引き続き、Bess&DeeのUnderstanding College and University Organizationの翻訳勉強会を進めた。②所属組織保有の過去の調査データをマージして二次分析に生かすための検討を行った。併せて東洋経済新報社刊『大学四季報』のデータを購入し、東洋経済新報社とのコラボレーションにより、大学の外形特性と生産性・競争的資金獲得との関係に関する計量分析を行い、2018年2月2日RIHE公開セミナーにおいてその成果を報告した。③方法論の見直し・新手法の適用可能性を検討し、その成果を分担研究者との連名で高等教育学会編『高等教育研究』の依頼論文(2017年6月刊行)、研究協力者との連名でディスカッションペーパーシリーズ(広島大学高等教育研究開発センター刊)として刊行した。④研究分担者により、大学の機能最適化に関する数学モデルで用いられる機能分化指数を用い,カリフォルニア及びニューヨークの大学群の機能の経年変化の分析を行い,UC Berkeley 公共政策大学院高等教育研究センターのリサーチペーパーとして発表した。⑤研究分担者により、大学組織の基本単位である学部に着目し,特に改組を行った人文社会系学部を取りあげ,当該学部の教員構成を分析した。その成果は、2017年度の日本高等教育学会にて報告された。⑥研究分担者により、シンガポールの高等教育の将来像を示す「SkillsFuture」政策およびシンガポール工科大学(SIM)の過去10年の発展の経緯と今後の戦略についての情報収集を行った。さらに、フランスにおける大学組織の在り方や統合・連携等についての調査研究を行い、大学の統合・連携の進展が進行しつつあり、全ての大学が統合又は地域毎に連携しなければならないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①予定していた基礎研究は、昨年度に引き続きBess&DeeのUnderstanding College and University Organizationの翻訳勉強会を進め、次年度以降に研究成果としてディスカッションペーパー、そして書籍刊行の目途を付けることができた。②予定していたデータ分析については、アンケートよりも、東洋経済新報社刊『大学四季報』のデータの購入と、東京大学大学経営政策センターが提供する大学情報データベースにより、計量分析が十分可能である見通しが付けられ、すでに一部成果が2018年2月2日公開セミナーにおいて報告された。③予定していた基礎研究の一環としての方法論の見直し・新手法の適用可能性の検討は、2017年度に、分担研究者および研究協力者との連名で依頼論文とディスカッションペーパーシリーズという形で成果が公表された。④予定された数理モデル分析については、研究分担者により、大学の機能最適化の数学モデルに含まれる大学の機能分化指数を用いて,カリフォルニア及びニューヨークの大学群の機能の経年変化の分析を行い,UC Berkeley公共政策大学院高等教育研究センターのリサーチペーパーとして発表した。⑤研究分担者により、本科研に連動する研究として、大学組織の基本単位である学部に着目した教員構成の分析がなされ、その成果が2017年度の日本高等教育学会にて報告された。⑥研究分担者により、躍進しているシンガポールの大学調査が展開され、政策と高等教育の組織や形態との関係に関する基礎的資料の収集がなされた。フランスについては日本よりも連携統合が急速に進んでいる実態が明らかになり、その一部は論文にまとめられた。以上のように当初予定していた基礎研究、計量データ分析、国際調査は順調に進んでおり、すでに成果も出ている点を踏まえ、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①基礎研究は引き続き継続し、Bess&Deeの米国高等教育に関する研究書を抄訳しつつ、日本の高等教育の組織・経営研究のレビューを『IDE』誌に基づいて行い、それらをとりまとめてディスカッションペーパーを刊行、書籍化へと繋げる。基礎研究の一環としての方法論の見直し・新手法の適用可能性は引き続き継続し、その一部成果を英語査読誌への投稿へと繋げる。 ②当初予定していた独自アンケート計画や国大協アンケート調査の二次分析を見直し、代替として東洋経済新報社と連携を進め、先方が提供している『大学四季報』データ収集に関する意見交換および要請を専門的見地から行う。このプロセスを通じて、学民連携による体系的且つ信頼性の高い大学機関レベルのデータ収集を進める。また、得られたデータに基づいた大学の組織行動の分析を行い、2018年度の学会にて発表を予定している。併せて、既存の高等教育関係の機関データのマージ作業を検討する。 ③数理モデル分析については、大学の機能最適化を記述する数学モデルの分析枠組みを国立大学群に適用し,機能パターンの抽出,戦略・目的や政策との関係について分析を行う。 ④海外調査については、昨年度に引き続きアジア、欧州、米国を調査対象として展開し、アジアについては、これまでに収集したシンガポールの調査結果をまとめ、報告書を作成すると同時に、タイの現地調査を行い、報告書にまとめる計画である。欧州については、フランスの現地調査を引き続き進め、日本の「大学等連携推進法人(仮称)」とフランスの大学・高等教育機関共同体(COMUE)との類似性を検討する。米国については、学際的且つ特殊な授業運営で出色な小規模校のエバーグリーン大学を訪問し、その特殊性の源泉を探る。
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