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2017 年度 実績報告書

地域活性化に果たす高校教育の役割の研究(2)-地域人材育成理論の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16H03783
研究機関青山学院大学

研究代表者

樋田 大二郎  青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (80181098)

研究分担者 大木 由以  青山学院大学, 教育人間科学部, 助教 (20637128)
沖塩 有希子  千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (50617917)
光永 亜希子 (西田亜希子)  大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (70554319)
石戸谷 繁  東北女子大学, 家政学部, 教授 (90712448)
寺崎 里水  法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (70432028)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード高校 / 地域活性化 / 地域人材育成 / 魅力化 / 地域との協働 / 地方郡部 / 進路形成 / 地域主義
研究実績の概要

2017年度(平成29年度)の調査実績の概要は、a.先行研究の検討、b.訪問聞き取り調査、c.質問紙調査、d.アクションリサーチを実施した。b.訪問聞き取り調査は、島根県および東北地方X県の2県の過疎化が進む地域の高校の2年生を対象に実施した。c.質問紙調査は質問紙調査対象校及び対象校の所在する県の高校教育関係者と産業関係者等を対象に実施した。d.アクションリサーチは、島根県のある高校の高校魅力化の取り組みに専門家および協力者の立場で参加して、取り組みの過程を記述した。これらの調査研究によって、高校生の地元居住志向を高めるためには、地域内社会関係資本を育成すること、地域内よそ者性を育成すること、当事者性を育成することの3つの側面での教育が効果的であることが明らかになった。
質問紙調査と訪問聞き取り調査の仮説は、島根県では2017年度調査結果は2014年度調査よりも地域主義的な知識・技能、態度・価値観が育っていること、また、2017年度の地域比較では、高校魅力化の取り組みの進む島根県の生徒は従来型の学歴主義的教育やふるさと教育の枠組みを残すX県よりも地域主義的な知識・技能、態度・価値観が育っていることを明らかにすることであった。結果は、仮説が支持された。
また、アクションリサーチは、魅力化の高校教育改革が町全体を巻き込んで進行していること、高校生は町に働きかけること、町民は高校生を支援することで自律性や能動性を形成すること、生徒も町民も当事者性と社会関係資本の形成を行うこと、などの知見をもたらした。われわれの当初の仮説である「高校は地域存続の生命線である。高校は地域活性化の最前線である。」は概ね支持されたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

a.先行研究の検討では、地域課題解決型学習の方法の背景となるアクティブ・ラーニング(AL)、課題解決型学習(PBL)、体験学習等の学習理論を中心に先行研究を猟歩し、近年の社会に開かれた学習、地域との協働よる高校教育改革、カリキュラム・マネジメント、チーム学校、地域連携員の活用、地域課題解決型学習などの動向と課題を検討した。
b.訪問聞き取り調査と質問紙調査では、 (1)島根県の高校魅力化事業対象校(島根県の離島・中山間地域に所在)のコーディネーター、高校教員、対象校の地元の町役場の高校担当窓口と地元商工会議所、地元NPOに対して訪問聞き取り調査を行った。学歴主義的な(学歴主義の影響を受けた)教育制度と教育観が地域主義的な(地域貢献主義的な)教育制度と教育観に取って代わられつつあることを明らかにした。
c.質問紙調査では、島根県で2014年度に実施したのと同じ高校、および新たに青森県の地方郡部にある高校7校を調査対象に加えて、時系列比較および地域別比較を行った。調査結果は、高校魅力化のとり組みが社会関係資本の形成と当事者性の深化と地域内よそ者性の育成に効果的であることが明らかになった。

今後の研究の推進方策

過去2年間の収集資料の検討と研究成果をとりまとめる。さらに、研究対象校1校の地域課題解決型学習(高校魅力化の取り組み)のアクションリサーチを継続し、過去2年の知見の研究対象への埋め戻し(知見の妥当性と意義の検討)を行う。成果は日本教育社会学会等での学会発表及び論文執筆を行う。われわれが高校教育の文脈で意義を検討してきた地域内社会関係資本、地域内よそ者性や当事者性を育成する意義の妥当性と実際にそれらが育成される過程を考察したい。また、あらかじめ予見されなかった知見として高校生の異文化感受性発達の過程及び、学歴主義的な制度と教育観が地域主義(地域貢献主義)のそれらへと変容していることが分かった。さらに高校魅力化の取り組みは、教員集団、地元行政、地元NPOおよびわれわれ研究者によって「地域との協働」として行われ、その過程でいわゆる「チーム学校」としての関係性が構築された。これらのことについて、得られているデータの再分析をしたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 社会教育(生涯学習支援)改革としての高校生と大学生の協働研究2018

    • 著者名/発表者名
      大木由以
    • 雑誌名

      青少年問題

      巻: 65巻1号 ページ: 10~15

  • [雑誌論文] 高校生と大学生の協働研究という大学授業改革一「視点の相互借用」「伝えるための能動化」の観点から2018

    • 著者名/発表者名
      樋田大二郎
    • 雑誌名

      青少年問題

      巻: 65巻1号 ページ: 16~21

  • [雑誌論文] 大学生は何を学んだのか-高・大協働研究の意義2018

    • 著者名/発表者名
      寺崎里水
    • 雑誌名

      青少年問題

      巻: 65巻1号 ページ: 28~33

  • [学会発表] 地域人材育成の教育社会学(9)高校魅力化プロジェクトと都鄙(とひ)間高大協働研究の研究2018

    • 著者名/発表者名
      樋田大二郎
    • 学会等名
      日本教育社会学会大会

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公開日: 2019-12-27  

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