研究課題/領域番号 |
16H03784
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
芦沢 真五 東洋大学, 国際学部, 教授 (00359853)
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研究分担者 |
森 利枝 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (00271578)
花田 真吾 東洋大学, 国際学部, 准教授 (00635865)
米澤 彰純 東北大学, インスティテューショナル・リサーチ室, 教授 (70251428)
太田 浩 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (70345461)
関山 健 東洋大学, 国際教育センター, 准教授 (90583576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 比較教育 / 国際教育 / 高等教育 |
研究実績の概要 |
29年度は研究会を連続しておこなった。11月18日(土)に実施した公開研究会では、文部科学省の進藤和澄国際企画室長(高等教育局高等教育企画課)に加えて、毛受敏浩(公益財団法人日本国際交流センター執行理事)、Chris Burgess(津田塾大学教授)、吉本圭一(九州大学主幹教授、第三段階教育研究センター長)の各氏による講演を行い、意見交換をおこなった。定住外国人、高度人材を受け入れていくプロセスに、NQFやFCEなどのシステムが整備されていく必要があることが提言された。12月7日(木)に実施したセミナーでは、「日本におけるFCE発展の可能性をさぐる」と題して、太田浩(一橋大学国際教育センター教授)、森利枝(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 研究開発部教授)両氏による講演を行い、12月5日に閣議決定で参加が決定した東京規約に関連して、FCEの運用にかかわる議論を深めた。さらに、3月には1週間にわたって欧州のFCE機関を訪問し、各国におけるFCEの運用と実務にかかわる調査をおこなった。まず、英国における外国成績評価(FCE)の公式な認証機関であるUK-NARICを訪問し、Cloud Bai-Yun (UK-NARIC 代表)をはじめ担当部門スタッフと面会した。FCEの実務、運用、評価ガイドライン、スタッフ職能開発などについて調査をおこなった。FCE評価実務とUK-NARICのリソースをどう活用しているかを分析した。次にアムステルダム自由大学を訪問し、入学審査部で外国成績をどのように判定しているかのヒアリングをおこなった。オランダにおけるFCE専門機関であるNUFFICを訪問し、NUFFICとしてのFCE業務、大学への情報提供のプロセス、他のFCE機関との国際連携、ワークショップ等の運営などの実情をヒアリングした。同様にドイツにおいてもFCE機関でのヒアリングを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
29年度、年度途中に日本の東京規約への参加が決定したため、東京規約の内容を的確に把握するための研究会を開催することができたことは有意義であった。予定していた研究会を次年度に振り替えることにはなったが、30年度に実施予定の国際シンポジウムの中で議論を深めていきたい。29年度は、11月18日に実施した公開研究会において、日本がFCEの運用を開始するうえでの課題を的確に分析することができた。まず、日本の人口減少および労働力人口が加速度的に減少する中、近い将来、定住外国人を受け入れていくことは避けられないという客観的な状況と受入れに向けた問題提起が行われた。また、日本において「国際化」「多文化共生」という概念が展開されてきた歴史的変遷を振り返り、日本の社会が「日本人 VS 外国人」という二分法(バイナリー)に立っており、「外国人」は何年住んでも何世代日本で過ごしても固定的に「外国人」と区分されることなどの問題点が指摘された。日本の社会がより外国出身者を積極的に社会の構成員として受け入れ、「開国」していくためのアクションとして、①「日本人」カテゴリーの多様化、②「日本人」の定義を緩和、③「日本人」対「外国人」バイナリ(二分法)を分解する、などのための方策が提案された。さらには、諸外国で進展する、職業資格枠組み(Qualification Framework)の概念が紹介された。欧州や豪州を中心に、第三段階教育(職業教育と高等教育を総合的にとらえた概念)における学修成果と職業のコンピテンシーの対応を軸とする統合的な教育政策、国家学位・資格枠組み(National Qualifications Framework, NQF)を形成されている状況を報告された。こうした背景を踏まえて、日本においても同様なNQFの発展、FCEシステムが定着していくための課題について次年度で分析を深めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本科研プロジェクトは30年度が最終年度であり、外国で取得された学歴・資格の「実質的な差異」に着目して同等性を確認する方法に関して、これまでの各国調査の結果をまとめるとともに、国際シンポジウムを開催して議論を深めていく。代表者である芦沢、米澤、関山を中心に、2017年12月に日本政府が加入した東京規約による締約国間の取り決め、特に「実質的な差異」に関する規定が日本および東アジアにおけるFCEの推進にとって、どのようなインパクトを持つか、を分析調査する。また、太田を中心に北米におけるFCE運用に関する最新情報を収集する。ニューヨークにあるWorld Education Service(WES)とは継続した情報交換をおこなっており、30年度もこれを継続する。吉川、森を中心に欧州調査の総括をおこない、EARマニュアルおよびケーススタディーに関して詳細な分析をおこなう。特に吉川はドイツにおけるFCEについて分析をすすめる。さらに関山を中心にアジアにおけるFCEの最新状況を調査する。これらの成果をCIESなどの国際学会でも報告することに加え、花田を統括者として締めくくりとなる国際シンポジウムを開催する。これに加え、新見を中心に最終報告書の編纂をおこない、日本のFCE機関の将来像にかかわる提言を発表する。
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備考 |
コンソーシアムのページに随時掲載
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