研究課題/領域番号 |
16H03786
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉田 文 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10221475)
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研究分担者 |
杉本 和弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (30397921)
杉谷 祐美子 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (70308154)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教養教育 / 中国の通式教育 / 学士課程教育 |
研究実績の概要 |
本年度実施した研究に関しては、 1.学士課程教育が専門教育のみで構成されていた社会において教養教育を導入した中国、香港を中心に、導入の経緯、その後の定着状況などの関する先行研究を検討した。研究課題としては、専門教育を主体とした大学のシステムに、それらに横串をさすような教養教育の導入には困難が伴うと想定されるが、その困難の状況と導入後の課題について、日本の経験との比較を通じて明らかにすることとした。 2.2017年3月に北京師範大学において、この課題に造詣が深い関係者を招き、日中比較のワークショップを開催した。そこでは、北京大学、復旦大宇など威信の高い大学では、通常の学部とは別に学院組織を設置し、そこで教養教育jと専門教育を行っており、一定の成功を見せている。しかしながら、それは中国のどの大学でも適用可能な方法ではないことが明らかになった。 3.北京滞在中に、中国人民大学、北京理工大学、北京外国語大学、北方工業大学を訪問し、それらの大学における、素質教育(通式教育)の導入の経緯、導入後の定着状況などについて、関係者へのインタビューを行った。 上記、2と関連して、多くの大学は素質教育(通式教育)を政府の指令のもとに導入したものの、学士課程全体で言えばその比重は低いこと、それを担当している教員からすればその重要性が強調される。他方で、大学全体のなかでいえば、素質教育(通式教育)に対する認知度は低いことが、課題として指摘された。日本の導入時と比較して、多くの共通点をもつことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、中国での調査は順調に実施した。当初の予定にあった香港の調査は予算の関係で実施できなかったが、香港大学において教養教育を担当している教員との個別のコンタクトを取ることができており、どこかで意見交換をすることを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
中国調査の結果は資料としての取りまとめを行っており、今年度は、日本の調査、オーストラリアの調査を計画している。日本の調査に関しては2017年9月頃、オーストラリアの調査に関しては、先行研究の渉猟とともに、その分野の専門家を招へいしての日本におけるシンポジウムを計画している。
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