研究課題/領域番号 |
16H03789
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
村山 良之 山形大学, 大学院教育実践研究科, 教授 (10210072)
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研究分担者 |
井田 仁康 筑波大学, 人間系, 教授 (20203086)
古田 昇 徳島文理大学, 文学部, 教授 (30299333)
黒木 貴一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
遠藤 尚 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (40532156)
小田 隆史 宮城教育大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (60628551)
小岩 直人 弘前大学, 教育学部, 教授 (70296002)
志村 喬 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70345544)
澤 祥 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80241222)
佐藤 健 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90290692)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 誘因 / 素因 / 土地条件 / 防災教育 / 学校防災 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
本年度の課題を簡略に示すと以下のとおりである。1 東日本大震災被災地の学校の経験と取組から,学校防災に関する教訓を導く。2 代表者および分担者の地元において学校関係者と共同で,当該地域で想定すべきハザードと地域の素因,地域の災害史を明らかにする。3 以上をもとに,有効かつ実践可能な防災教育の教材や教育プログラムを開発する。 研究代表者および分担者は,学校や教育委員会への支援を含む実践を通してこれらの課題に関する成果を上げつつあり,それらの中には既に論文や学会発表を行われたものも多い。 村山,佐藤,小田は,石巻市や仙台市において,被災地の学校や教育委員会の経験や取組に関する情報を蓄積し,またそれに貢献もしている。村山は,岩手県沿岸部の学校と教育委員会関係者らへの聞き取り調査を行った。小岩は青森県と北海道,村山と澤は山形県,古田は香川県,遠藤は高知県,黒木は福岡県において,それぞれ学校や教育委員会と協力して,地元のハザードや土地条件に関する知見をふまえた授業や授業参観,研修会等の防災教育支援を行った。またこのうち小岩と古田は,津波被災を経験した宮城県小学校教員の派遣を受け入れて授業や研修会に参画させた。井田と志村は,本研究課題の基盤となるべき,社会科教育,地理教育,ESDのなかで防災教育の内容や位置付け等に関する研究成果を発表した。さらに本年度に発生した災害に関して,黒木,澤,佐藤は熊本地震について,小岩は岩手の豪雨災害(土砂災害)について,それぞれ現地調査を実施し,また澤は各地の活断層調査に参画し,いずれも防災教育の基礎となるべき知見を得るための研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災被災地の学校関係者に対する聞き取り調査やシンポジウム開催等により,被災直後から数年間にわたって被災地の学校が取り組んできたことや課題について,新たな知見を得ることができた。 同震災の非被災地および被災地において,学校や教育委員会等における防災教育や関連する研修会等の企画や参画を通じて,防災教育や防災管理の前提となる地域の条件(土地条件,ハザードなど)の把握とそれらの学校関係者らへの提示を行った。ただしその進行度は,地域によってややばらつきがある。 予定外のこととしては,熊本地震が発生したことにより福岡教育大学の黒木をはじめ複数名が現地調査を実施し,将来の防災教育にも活用できる結果を得た。同様に,岩手豪雨災害について,弘前大学の小岩が土砂災害に関する現地調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1 前年度に引き続き,東日本大震災被災地の学校関係者に対する聞き取り調査等により,まだ広く知られていない経験や被災地で始まった学校防災の取組を明らかにして,学校防災に関する教訓を導く。 2 前年度に開発した各学校や各地域で有効かつ実践可能な防災教育の教材や教育プログラムを,実践,評価して,これを改善する。地元教育委員会,学校との共同により,学校現場での実践が可能であり,かつ有効なものになるよう,この作業を継続して進める。また必要に応じて,被災地の学校関係者を招聘して,学校関係者の研修会や児童生徒向けの授業に参画していただく。 3 前年度に明らかにした当該地域で想定すべきハザード(誘因)と地域の素因(土地条件と社会的条件)および地域の災害史および東日本大震災の経験をふまえた学校防災マニュアル案を作成する。その際,東日本大震災をふまえて提示された文科省(2012),および既存の学校防災マニュアルのひな形(宮城県教育委員会版,鶴岡市教育委員会版等)を参考にする。地域ごとに作成された学校防災マニュアル案(ひな形)を基に,パイロットスタディとして学校との共同によって,自校化の方法(学校現場における課題と解決方法)について検討する。
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