研究課題/領域番号 |
16H03794
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60163010)
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研究分担者 |
磯貝 淳一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40390257)
田中 宏幸 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40278966)
松崎 正治 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (20219421)
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本語書記史 / 思考様式 / 学習材 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語独自の思考様式を解明し、それに基づく「書くこと」教育を中心とする学習材の開発とカリキュラムの策定及び検証を目的としている。本年度は、各自個別に研究を推進するとともに、全体で3回の会合(研究会)を開催した。 第1回は、全国大学国語教育学会(2016年5月27・28日)の折に、新潟大学において今後の研究の進め方、帰着点について協議し、大枠を確認した。 第2回は、同年8月27・28日に同志社女子大学において「日本語書記史研究会」(これを今後の会合の名称とした)として開催した。5名の研究発表に続いて、① 日本語独自の思考様式とは何か、② 学習指導要領の領域の問題、特に「書くこと」教育の学習材の問題点、③ 教材開発の観点と目標、④ いかなる授業を開発するか、⑤ 研究授業を検証する方法、⑥ カリキュラムの絞り込み、などについて協議した。 第3回は、2017年1月21・22日に同じく同志社女子大学において「日本語書記史研究会」を開催した。5名の研究発表に続いて、① 教科書教材の日本語史的価値、② 教材化に向けた観点と方法、③ 『平家物語』の授業に諸本の比較を用いる方法、④ 書きことばと話しことばの特性、⑤ 教科書教材の実際、⑥ 「国語の特質」の指導の方向性、⑦ 古典の授業における「書くこと」とは、⑧ 中学校の授業実戦に向けての研究協力者の開拓、などについて協議した。 その後、同年3月9日に新潟大学において、一部メンバーによる「古典教育と古典教材研究の会」が開催され、授業実戦に向けての研究協力者(授業者)の開拓を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「国語教育領域」の担当者は、主として① 思考様式が関連する諸学問における先行研究の調査及び理論的解明をすること、② 国語科における授業実践の前提となる思考様式を抽出すること、「日本語学・文学領域」の担当者は、主として① 思考様式のベースとなる日本語史上の書記様式を発掘すること、② 書記様式と文章の生成との関わりを明確化すること、に努めた。複数回にわたる研究発表会と十分に時間をかけた協議により、メンバー全員の理解の深化に伴い、理論面での構築が格段に進んだ。 また、当初は2年次以降に計画していた研究授業の実践は、古典教材の新たな授業づくりを目指した『平家物語』の「敦盛の最期」及び「扇の的」に関する提案によって、本年度中の3月15日に開催された附属長岡中学校事前検討会において、2年1組の研究授業に結びついた。いまだ、各学校種、各学年に及ぶカリキュラムの構築には至っていないものの、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後もまた、複数回にわたる研究発表会、協議会を開催し、ますますの研究の進展を図る所存である。 また、研究授業の実践は、引き続き附属長岡中学校にて行われる予定であるほか、長岡市内の一般校・江陽中学校でも実施される予定である(上越地方の一般校でも実施の可能性を探っている)。 我々が提唱する新しい授業が、附属学校を越えて一般校にもスムースに波及・浸透することを期待している。
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