研究課題/領域番号 |
16H03794
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60163010)
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研究分担者 |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
松崎 正治 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (20219421)
田中 宏幸 安田女子大学, 文学部, 教授 (40278966)
磯貝 淳一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40390257)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 思考様式 / 日本語書記史 / 「書くこと」教育 / 学習材 / カリキュラム / 開発・検証 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語独自の思考様式を解明し、それに基づく「書くこと」教育を中心とする学習材の開発とカリキュラムの策定および検証を目的としている。本年度もまた、各自個別に研究を推進するとともに、全体として2回の会合(研究会)を開催した。 第1回は、2017年9月2日・3日に新潟大学東京事務所(東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター 611号室)で開催した。『平家物語』諸本の比較を用いた教材化、『治拾遺物語』と『今昔物語集』の比較を用いた教材化、高等学校国語教科書における「日本語書記史」教材化の現状などの発表に続いて、本科研におけるこれまでの研究の整理と今後の枠組みについて協議した。 第2回は、2018年2月10日・11日に同志社女子大学今出川キャンパス(ジェームズ館2F)で開催した。国語学的手法を用いた『平家物語』の教材分析、『日本往生極楽記』『今昔物語集』『宇治拾遺物語』の比較を用いた教材化、古典の学習指導の改善などの発表に続いて、本科研の最終年度に向けて実践の枠組みについて協議した。 本年度は、この他全国大学国語教育学会福山大会にて共同発表を行ったり、古典教育と古典教材研究の会、中越国語教材を読む会にて報告を行ったり、研究協力者による研究授業の実践4本(愛知県中学校教諭1名、新潟県中学校教諭2名、新潟県高等学校教諭1名)や実践発表1本(新潟県中学校教諭1名)が行われるなど、対外的に周知を図る活動が目立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「国語教育領域」の担当者は、主として① 思考様式が関連する諸学問における先行研究の調査および理論的解明を行うこと、② 国語科における授業実践の前提となる思考様式を抽出すること、「日本語学・文学領域」の担当者は、主として① 思考様式のベースとなる日本語史上の書記様式を発掘すること、② 書記様式と文章の生成との関わりを明確化すること、に努めた。2度開催された研究発表会と十分に時間をかけた協議により、メンバー全員の理解はさらに深まり、理論面の構築が一層進んだ。 また、本来は本年度から実施が予定されていた研究授業の実践は、昨年度末に前倒しで行われた。本年度はこれをさらに拡充し、上掲の「研究実績の概要」に示したように、研究協力者による研究授業の実践が4本、それに基づく研究発表が1本行われた。 いまだ、各学校種、各学年にわたるカリキュラムの構築までには至っていないが、中学校・高等学校に関しては、おおむね対応できる段階になっている。よって、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もまた複数回の研究発表会・協議会を開催し、ますますの研究の進展と深化を図る所存である。すでに、2018年度の第1回会合(研究会)は、9月22日・23日に新潟大学東京事務所(東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター)で開催することが決まっている。研究協力者の赴任校における研究授業の実践も、引き続き行う予定である。 また次年度は最終年度に当たるため、各自が分担部分を鋭意まとめ上げるとともに、全体を論理立てつつ総合し、さらに授業実践記録を付して、研究報告集として公にする予定である。 我々が提唱する新しい授業・カリキュラムが、実践の現場に広く深く波及・浸透することを期待している。
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