研究課題/領域番号 |
16H03799
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤井 弘也 大分大学, 教育学部, 教授 (70218981)
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研究分担者 |
西口 宏泰 大分大学, 全学研究推進機構, 准教授 (10274739)
麻生 良太 大分大学, 教育学部, 准教授 (10572828)
藤井 康子 大分大学, 教育学部, 准教授 (10608376)
大野 歩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60610912)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光と色の科学 / 教科融合型学習 / 探究型学習 / アートワークショップ / 美術と科学 |
研究実績の概要 |
第3年次は、各研究実践校との教科融合型学習の授業の開発と実践及び検証を進め、第2年次までに実践したアートを入り口とした光と色の探究型学習のためのプログラムを年間カリキュラムに組み入れ、学習プログラムの評価を行った。 (1)地域の教育資源の調査:姫島のジオパークと宇目のエコパークの自然物を使った探究型学習教材を開発した。(2)探究型学習プログラムの開発:姫島小学校では1学期にワークショップ『色々たっぷりカラフルインスタレーション』(1-3年)と『姫島色をつくるⅡ:いのちの色・植物』(4-6年)を実施し、分析を行った。2学期に5年生を対象に『葉っぱの色が変わる仕組み~紅葉の科学~』、『色が変わる仕組み・私の好きな姫島の色』、『色で身近なものの酸性・アルカリ性を見分けてみよう』を実践し、児童各自の『私の色辞典をつくる』を実践し、色見本を作成した。ポートフォリオとパフォーマンス課題から子供の学びを分析した。宇目緑豊小学校では1学期にワークショップ「ぱたふわ」(1-5年)と「墨に五彩あり?~猪の骨から黒色絵の具をつくる」(6年)を実施し、分析を行った。2学期に『私の好きな色探し~自然の中で~』(3年)、3学期に『宇目色新聞をつくる』(3年)と『宇目の自然にはどんなものがあるかな?植物の色の科学』(4年)、『故郷の色と私の色~光と色の世界~』(4年)等を実践し、分析を行った。津江小学校では1学期にワークショップ「ころころピンポン」(1-6年)と「ザ・ピグメント 日田色をつくる~絵の具は石からできている」(5・6年)を実践し、分析を行った。盲学校では4年生を対象に、2~3学期に『白と黒~光と色の不思議~』(5年)、『好きな色ベスト10 光と色と言葉』を実施し、分析を行った。 (3)色の探究型学習評価ツールの開発:子供の発達段階で異なる学びのプロセスを分析し、ルーブリックの改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究実践校、大分県芸術文化スポーツ振興財団(大分県立美術館、「地域の色・自分の色」実行委員会)、大分県教育委員会、市町村教育委員会との協力体制のもと、色を起点とした探究型学習の開発・実践に取り組み・検証及び評価ツールの修正ならびに改善することができた。研究実践校2校(宇目緑豊小学校、姫島小学校)では、学校長の理解と研究対象学年の担任教員からの積極的な協力のもと、小学校の公開研修会の講師として招聘された。さらに、従来の連携を超えた現場教員との共同研究に発展し、総合的な学習を基軸とした探究学習プログラムとして完成させることができた。さらに、担当教諭の全教科につながる授業改善に寄与した。本年度は、県立美術館のアートワークショップを含めた本研究が研究実践校の年間カリキュラムに位置付けられて実施できることが決まっている。研究の成果の一つとして、本研究が係る実践校のうち1校の取り組みが一定の評価を得た。第1年次から取り組むアートワークショップの活動及び色を起点とした探究学習の取り組みが、株式会社小学館の教育ビデオライブラリー(文化事業・社会貢献)の優れた教育実践に選ばれた。地域の人材育成、地域振興においても大きく貢献していることがあげられる。本研究の成果や研究内容の課題については、連携推進協議会と成果報告会(各1回)にて学識経験者や連携研究者から指導・助言を得て改善に努めている。研究成果の社会的還元については、研究メンバーが所属する国内・国際学会等やホームページで積極的に発表を行っている。この他、地元の報道関係者、教科書会社 のデジタルマガジンに取り上げられたことや、実践を見学する教育関係者や有識者も増えていることから、研究が順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
地域の教育資源調査やモデル校での「地域の自然・動植物」をテーマとした教材開発・実践・検証の結果を報告書としてまとめ、「大分モデル」として最終年度に提案する。ウェブサイトを活用して研究・教育交流ネットワークを広げ、研究経過と成果を国内外に向けて発信していく。 (1)授業開発と実践、プログラムの確立:幼稚園では、『いのちの色』をテーマとしたワークショップ型表現活動を学習プログラムにまとめる 。小学校(盲学校を含む)では、総合的な学習や生活科、図画工作科、理科、算数等の授業時間において『身の回りの色のふしぎ』を起点とする好奇心を活かした教科融合型学習の開発と実践から、それらの結果を学習プログラムにまとめる。上半期に、大分県立美術館と共同で光と色のワークショップを実施する。例として、光の三原色と影の色を題材として身の回りものや自然に対する知的好奇心を誘発し、観察力や洞察力を養う。 (2)学習の効果検証・評価ツールの開発:幼稚園児の学習成果は、これまでの分析結果をまとめる。児童の学習成果の検証は、ポートフォリオ とパフォーマンス課題により分析する。その際、21世紀型スキルを取り入れた「色の探究ルーブリック」を発達段階に合わせて作成し、提案する。 (3)研究会の開催:モデル校の姫島村と大分市盲学校、佐伯市宇目等で研究会を開催する。各研究実践校の教員と大分県市町村教育委員会、学識経験者等を招聘し、研究報告会を開催する。 (4)ウェブサイトでの情報発信:ウェブページに研究成果の一部を公開するとともに、日本国内外の学校現場との交流を継続する。 (5)引き続き社会への還元:研究分担者の所属学会等で口頭発表及び論文執筆を行う。
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