研究課題/領域番号 |
16H03802
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
寺本 貴啓 國學院大學, 人間開発学部, 准教授 (50585114)
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研究分担者 |
木下 博義 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20556469)
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
角屋 重樹 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (80136027)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 協働 / ICT / Deep Learning / 小学校 |
研究実績の概要 |
本年度は、4年計画中の2年目である。1年目は、教師の働きかけについてどのような働きかけがあるのかについて、小学校教員に対して調査し、現在12のパターンを抽出した。このうち、協働に関わる教師の働きかけを用いて、研究からの働きかけの方法を検討する基礎ができた。 2年目は、実践事例として昨年度に引き続き道徳を事例に実践した。Deep Learningになっているかどうかについて、360度カメラを用いて各グループの撮影を行い、グループ対話が実際にどのように行われたのか検証した。検証した結果、深い学びという視点で考えた際は、普通に課題を与えると、一見話し合っているようには見えるが、実際の内容としては早いうちからグループとしての結論が出てしまっていることが多く、本当の意味での深い学びにはつながっていないことが明らかになった。例えば、4名グループの場合、上位群(飛び抜けていわゆる「頭がいい」と子供たちの中で認識されている子ども)が1名いた場合、異論なくその一人の意見がグループの意見になってしまうことが多いといった、パワーバランスが影響する。その他の場合でも、上位群が2名いる場合においては、上位群の2名のみが話し合って、他の2名は聞き手に徹する場合もあった。さらに、4人とも発言できないメンバーだった場合は、話し合い自体が深まらず、全く理解ができているかどうかもわからない状況であった。このように4人グループであった場合、4人全員が話し合い、深め合うような形は非常にまれであり、どちらかと言えば、わからない子どもは聞き手に徹し、理解する方に力を入れているパターンが多い。そのため、今後は、実際に深い学びになるには、どのような介入が必要なのかについて検討することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するための方法は以下の3つである。 ① Deep Learning が成立する協働の要素を顕在化する,② 協働の場面での教師の働きかけ(特定集団交流型指導・多集団交流型指導)によって,学習 者の協働の姿(双方向型・ピッチャー型・キャッチャー型)の違いを定量的に検証する,③ ICT 機器を活用し,顕在化したDeep Learning が成立する協働の要素の育成とDeep Learningを促進する指導モデルの開発とその効果検証をする。 現在の進捗としては、①が完了し、②を昨年度から進めている。協働の姿(双方向型・ピッチャー型・キャッチャー型)については、30年度にビジネス顕微鏡を活用する目処が立ったため、30年度に実施するが、その前の実態調査として、360度カメラでグループによる協働の授業状況を撮影し分析した。③については、②を実施する際にも指導モデルを作成し、実際に可能かどうかの検証と同時に行っている。しかしながら、Deep Learningになっているかどうかについて、360度カメラを用いて各グループの撮影を行い、グループ対話が実際にどのように行われたのか検証した結果、深い学びという視点で考えた際は、普通に課題を与えると、一見話し合っているようには見えるが、実際の内容としては早いうちからグループとしての結論が出てしまっていることが多く、本当の意味での深い学びにはつながっていないことが明らかになった。このパワーバランスが影響することに対して、今後は、実際に深い学びになるには、どのような介入が必要なのかについて検討することになる。 30年度に当初予定のビジネス顕微鏡は本研究では活用が可能となるため、「②おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、2年目に引き続き、指導事例の分析と指導案作成、理想とする協働の在り方を整理し、本当に深い学びになっているのかという調査結果を踏まえた学習効果測定のためのプレ・ポストテストの改善,合意形成能力や批判的思考力などの要素を測定する質問紙の改善を行い,量的,質的に調査・分析を行う。 特に、昨年度はグループによる対話が実際のところ人間関係やそのパワーバランスによって深まっていないことが明らかになったため、「本当の深い学びのための対話になるにはどうすれば良いのか」について検討を行う。今年度は他教科についても検討する。 また、ビジネス顕微鏡が改善され今年度、当初の計画通り活用可能となったため、集団の動き方について、「会話の双方向性(誰が誰に話しているのか,誰が聞き手になっているのか)」「組織内グループの交流度(多様な対面が行われているのか)」の測定が可能となる。そこで、この調査方法を活用して,教師の働きかけによる,学習者の協働の姿(双方向型・ピッチャー型・キャッチャー型)に違いが出るのかについて検証する。
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