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2016 年度 実績報告書

ホウ素を基盤とした新規2次元化合物の創成

研究課題

研究課題/領域番号 16H03823
研究機関筑波大学

研究代表者

近藤 剛弘  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70373305)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードナノマテリアル / 2次元シート / 硼素
研究実績の概要

これまで,2硼化マグネシウム(MgB2)からMg2+をキレート錯体として取り除くと,化学的に活性な硼素の2次元シートが形成することを見出しました(特願2015-067282).本研究ではこのような2硼化金属から形成する化学的に活性な硼素の2次元シートに着目しました.本研究の第1の目的は硼素シートの化学反応性の起源と反応メカニズムを解析し明らかにすることです.第2の目的は,この高い化学反応性を緻密に制御し,硼素を基盤とした様々な新規の2次元化合物材料の創成することです.
今年度はまず硼素シートの化学反応性の起源を明らかにするため,水とMgB2との化学反応過程を連携研究者の中村潤児教授,藤田武志准教授,岡田晋教授,西堀英治教授とともに詳細に調べました.この結果,MgB2と水との反応は2段階で起きていることがpH計測,生成ガス定量分析,生成物の電子顕微鏡解析,X線光電子分光,X線回折,反射赤外吸収分光などによる解析から新たに明らかとなりました.具体的にはMgB2 + 2H2O → 2BH + Mg2+ + 2OH-で示されるMgと水素とのイオン交換反応に続き2BH + 2H2O → 2B(OH) + 2H2↑で示される加水分解反応が起きていることがわかりました.さらに,この反応で形成するナノシートは超音波をかけないで静置して合成した場合は0.7nmの層間距離を持つMgとOH基を有するスタック構造を持つナノシートとなることが新たにわかりました.また,これらの化学反応性の起源・メカニズム解析と並行して第2の目的遂行のため,Mgイオンと水素イオンを完全にイオン交換した水素化硼素シートも新たに合成しました.このシートはエタノールの脱水反応に触媒特性を示すことが新たにわかってきました.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水とMgB2との反応によりナノシートが形成するメカニズムを解明し硼素の高い反応性の起源が,MgB2中から得られる硼素がカチオン的であることに由来することを明らかにできたこと,また,エタノール脱水触媒機能があるシートを見出すことができたことより,おおむね当初の計画通り順調に進展していると判断しました.

今後の研究の推進方策

MgやOH基を有する硼素シートや水素化硼素シートが得られたため,これらの機能性を触媒活性を中心に調べます.また,今年度得られた知見を立証するため他のイオンとの反応を実現することで別の新しい硼素を基盤とした2次元シートの合成とその機能性の解析を行います.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] イオン交換法による水素化ホウ素シートの大量生成2017

    • 著者名/発表者名
      西野弘晃, 藤田武志, Nguyen Thanh Cuong, 宮内雅浩, 飯村壮史, 梅澤直人, 岡田晋, 西堀英治, 藤森智博, 藤野朝日, 伊藤伸一, 中村潤児, 細野秀雄, 近藤剛弘
    • 学会等名
      日本化学会 第97春季年会 (2017)
    • 発表場所
      慶應義塾大学 日吉キャンパス(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17
  • [学会発表] 水素化ホウ素シートの触媒特性の解明2017

    • 著者名/発表者名
      藤野朝日, 伊藤伸一, 西野弘晃, 藤森智博, 中村潤児, 細野秀雄, 近藤剛弘
    • 学会等名
      日本化学会 第97春季年会 (2017)
    • 発表場所
      慶應義塾大学 日吉キャンパス(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17
  • [学会発表] 窒素で機能化された新規二次元ホウ素シートの生成2017

    • 著者名/発表者名
      藤森智博, 藤田武志, 西野弘晃, 藤野朝日, 中村潤児, 細野秀雄, 近藤剛弘
    • 学会等名
      日本化学会 第97春季年会 (2017)
    • 発表場所
      慶應義塾大学 日吉キャンパス(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17
  • [学会発表] Fundamental Properties and Applications of Two-Dimensional Materials2016

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Kondo
    • 学会等名
      29th International Microprocesses and Nanotechnology Conference
    • 発表場所
      ANA Crowne Plaza Kyoto, Kyoto (Japan)
    • 年月日
      2016-11-10 – 2016-11-10
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Room Temperature Synthesis of Two-Dimensional Boron Sheets2016

    • 著者名/発表者名
      H. Nishino, T. Fujimori, A.Fujino, T. Fujita, N. Umezawa, S. Okada, E. Nishibori, S.Ito, J. Nakamura, H. Hosono and T. Kondo
    • 学会等名
      29th International Microprocesses and Nanotechnology Conference
    • 発表場所
      ANA Crowne Plaza Kyoto, Kyoto (Japan)
    • 年月日
      2016-11-09 – 2016-11-09
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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