研究実績の概要 |
・第一原理計算の計算時間短縮を目指して電子状態の収束判定に用いる全エネルギー表式を調整するなどの収束性の向上を検討した。 ・ボンドオーダーにイオン項を組み込んだSi-O系の電荷移動型ポテンシャルを開発した。パラメータ合わせ込みにはアモルファス構造を中心として第一原理計算(PHASE/0)で求めた約5,000個の系,400,000個の物性値を使用した。Si(100)表面の初期酸化の動力学計算を実施した結果、酸化界面のSiO2層の密度分布などに関して実験結果と一致する傾向が得られた。 ・第一原理計算を用いて、4H-SiCのSi面およびC面の上部にアモルファス状のSiO2膜を重ねてアニールした系に対して、界面近傍にO2分子を連続的に供給して長時間MD解析を実施した。その結果、CO分子やCO2分子の脱離、Cクラスタの形成など熱酸化による界面構造の変化が得られた。CクラスタはC面界面ではSi面より大きく凝集する傾向が見られた。 ・PHASE/0による第一原理MD解析で得られた多数のSiC/SiO2界面構造を教師データとして、Si-C-O系の電荷移動型ポテンシャルを開発した。4H-SiCのSi面およびC面に関して、SiC/アモルファスSiO2界面付近に繰り返しO2分子を挿入して熱酸化シミュレーションを実施した。その結果、C面ではSi面より速く酸化膜が成長するなど実験結果と一致する様子がみられた。 ・SiC熱脱離によるグラフェンの成長を解析するため、Si-C系の電荷移動型ポテンシャルを開発した。パラメータの合わせ込みにはSiC表面のCクラスタ構造を含むPHASE/0で求めた約2,600個の系,210,000個の物性値を使用した。開発したポテンシャルを用いてステップを有する4H-SiCの高温アニールによるグラフェン成長過程の長時間古典MD解析を開始した。
|