研究課題/領域番号 |
16H03840
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
安部 隆 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00333857)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | マイクロファブリケーション / タフMEMS |
研究実績の概要 |
本プロジェクトにおける研究項目は、(A)加工装置と条件評価、(B)表面処理(改質による機能強化)、環境ストレス印加、(C)耐久性評価(機械・電気的特性評価)、(D)実試験(実装と現場レベルの耐久性試験)となっています。平成29年度は、研究項目(A)については、ウェハの交換を迅速にできる自己加熱式ステージを熱シミュレーションをもとに設計し、実機上での性能試験まで実施しました。新しく考案したステージにより生産工程全体の高速化に成功しました。本成果は、6月に開催される国際会議で発表する予定です。マイクロファブリケーションに関する本成果は、チタン系材料を用いた実用研究(D)の推進に繋がると期待されます。研究項目(B)については、成膜装置の故障で中断してしまいました。追加の設備導入を本研究費で実施することは、予算を超えるので、代案として微小元素が含有されている合金を直接加工するマイクロファブリケーション技術の向上により、関連する研究項目(C)および(D)に影響がないように進めています。研究項目(C)については、本プロジェクトのマイクロファブリケーション技術で加工した部品であってもバルク材料の材力特性とほぼ同じ特性が得られることを確認できました。開発したマイクロファブリケーション技術では、センサ・デバイス応用上で重要な加工損傷により機械特性の大幅な劣化はないことが確認されました。ただし、前述の設備故障の影響もあり環境試験については遅れています。研究項目(D)は本年度からの実施項目ですが、チタン合金製のマイクロ金型、マイクロメスの試作を終えて、試験を実施している状況です。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究項目(A)の加工装置と条件評価について、ウェハの交換を迅速にできる新しい自己加熱式ステージを熱シミュレーションをもとに設計し生産工程全体の高速化に成功するなど、予想以上の成果を得ました。また、開発したマイクロファブリケーション技術をもとに、研究項目(D)の応用面について、加工面が平滑なチタン合金製マイクロ金型やしなやかで柔軟なマイクロメスの作製が可能になるなどの進展がありました。しかし、研究項目(B)の表面処理(改質による機能強化)、環境ストレス印加については、設備故障によって中断するなどの影響がありました。これは、現状の予算で対策ができないため、あらかじめに機能強化されている材料を加工することで代替しようと試みています。以上、大きく進展した研究成果とほぼ中断に近い状態の研究成果があるため、総合的には、おおむね順調に進展していると判定しました。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、当初の研究計画に従い、耐久性試験(B)、(C)を引き続き実施するとともに、既に前倒しで進めている実試験を重視した研究に主軸を移していく計画です。具体的な研究項目について、以下に記します。 (D)実試験(実装と現場レベルの耐久性試験) 研究項目(B)、(C)について、継続的に進めると同時に、研究を完了した機能性メタル材を対象にMEMSセンサ・デバイスの二大モデル形状であるカンチレバー型、ダイヤフラム型の力センサ、圧力センサの作製プロセスの研究を実施した上で耐衝撃試験をおこないます。例えば、圧力センサでは、評価用チャンバーを利用した急加圧や加振試験などの対衝撃試験の実施を目指します。本試験の実施のためには、センサ・デバイスの実装が必要です。そこで、熱膨張係数を揃えたガラス材料(例えば、チタニウムについてはソーダーガラス)上へのアルミニウム薄膜を介した陽極接合など、実用的センサ・デバイスへの向けた課題抽出と解決も実施します。また、その他の応用デバイスへの応用も進めていきます。
|