研究課題/領域番号 |
16H03841
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田畑 修 京都大学, 工学研究科, 教授 (20288624)
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研究分担者 |
菅野 公二 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20372568)
川合 健太郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90514464)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノプロセス / DNA / 流体デバイス / ナノポアシーケンシング / SERS |
研究実績の概要 |
(1)矩形DNAオリガミの表裏に球形金粒子(直径15nm)を固定した後、この高次複合体をシリコン基板上に固定し、UV照射によりDNAナノ構造を除去することにより、シリコン基板上に金ナノ粒子二量体構造を形成でき、基板洗浄後も安定に基板上に保持できることを検証した。
(2)シリコン基板上にナノトレンチを用いたセルフアセンブル法により形成した粒子間ギャップ1nm程度の球形金ナノ粒子(直径100nm)二量体構造を形成し,まず,4,4’-ビピリジン分子の極低濃度溶液を用いた短時間ラマン分光計測において,ラマン強度の離散的な分布から1分子検出の可能性を示した。次に,10pMの極低濃度溶液においてアデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)の4種類の特徴的なピークが確認され,塩基の検出・同定が可能であることを明らかにした。さらにAGCTAGCTの8塩基オリゴマーを用いた計測では,AおよびGのピークとデオキシリボース,リン酸のピークが確認された。これらの結果から,二量体構造を用いたSERSによるDNA塩基識別の可能性を示した。
(3)異方性ウェットエッチングによって形成したシリコン酸化膜の自立薄膜にFIBを用いて100-300nm程度のナノポアを形成し、そのナノポア部へ単分子膜を転写することでグラフェン等の自立膜を形成した。その後、フォーカス距離とドーズ量を最適化したヘリウムイオンビームによってグラフェンにナノポア加工を行い、最小約1.5nmナノポアを実現した。また、電解液中での電圧印可による絶縁破壊において印加電圧と印加時間を最適化することでシリコン酸化膜の自立膜への2~10nmナノポア形成を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無機材料メンブレン膜へのナノポア形成、金ナノ粒子二量体を用いたSERSによるDNA塩基の検出技術、およびDNAナノ構造を用いた直径15nmの金ナノ粒子二量体作製技術の構築は順調に進んでいる。しかし、金ナノ粒子のサイズをSERSに必要な50nm程度に大きくした場合、DNAナノ構造を用いた二量体形成収率が極めて低いという問題が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、それぞれの研究者が構築した要素技術をベースに、研究者間の連携をより密にして研究を推進する。 前年度明らかとなった課題については、DNAナノ構造を鋳型として金ナノ構造を作製する先行研究結果を参考に実験を進め、金ナノ粒子のサイズと形状を制御してSERSに適した金ナノ粒子二量体を形成する技術構築を進める予定である。
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