研究課題
SrTaO2N薄膜の逆光電子ホログラフィーの結果については、、窒素のホログラムパターンのコントラストは酸素のものよりも明瞭であり、それらの局所構造が大きく異なることが示唆されていた。シミュレーションによる構造の議論を進め、トランス構造において、c軸配向のみだけでなく、a,b軸の配向も含んでいるモデルが、窒素及び酸素のホログラムパターンをよく再現していた。また、固体内での電子線の軌跡を計算できる公開ソフトCASINOを利用し、実験で用いた2.5keVの電子ビームの試料内での挙動についてシミュレーションを行った。その結果、約30%程度の電子ビームがSrTiO3基板の酸素を励起し、酸素のホログラムのコントラストに若干影響を与えることも分かった。次に、パワーデバイス半導体として注目されているAlGaNを試料として、構成されている全元素の逆光電子ホログラムの測定を行った。入射電子線のエネルギーを2.5keVとした。主要構成元素であるGaのホログラムパターンを、GaNの結晶構造を用いて計算したパターンと比較し、ポジとネガが反転したパターンに近いことが分かった。これは、マトリックスを構成する原子に対する、入射電子線の吸収効果と思われる。例えば、試料の浅い部分であれば、入射電子線強度の方位依存性は小さいために、特性X線の強度は、それを発する原子の吸収量に比例する。一方、吸収効果の大きく影響する試料の深い部分に対しては、入射X線自体の強度変調に変化が生じるために特性X線は逆にネガになる。今後は、入射電子線の強度変調を計算に入れて、ホログラムの計算を行う必要がある。一方、同時に観測されたAlやNのホログラムパターンについては、ポジとネガの反転は観測されなかった。これに対しては、検出したAlやN、Gaの特性X線のエネルギーや、それら元素の深さ方向への分布が関係していると思われる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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