研究課題
まず、素子単体におけるノイズ測定実験で印加電圧が大きい場合は電気ノイズが、印加電圧が小さければ磁気ノイズが支配的になることを確認した。また、低周波ノイズの測定から、素子単体でも100kHz以下の周波数では1/f磁気ノイズが存在することがみられた。これは、素子のエッジの揺れなどに由来するといわれている。そこで、信号の測定領域にエッジを含まないVortexドメインを持つトンネル接合におけるノイズの測定を行った。その結果、その接合領域にエッジを含まなくても1/f磁気ノイズが現れることが観測された。そこで、Vortexの運動と同等な運動を連続膜上で発生させるためにスキルミオンを含む膜におけるスキルミオンの熱運動の観察を行った。スキルミオンを多数含む膜におけるスキルミオンの熱振動を測定することはドットアレイのノイズを測定することに対応する。その結果、連続膜では離れた位置にあるスキルミオンの熱運動は相関を持たないことが見出された。一方、シミュレーションを行った結果、膜のヘリには磁化の熱振動により磁荷が現れ、長距離におよぶ反磁界が発生することを見出した。この反磁界は熱的に振動するため、スキルミオン全体に搖動磁場が加わる。以上の結果からトンネル磁気抵抗素子アレイでは、トンネル磁気抵抗素子間に磁気結合があると静磁波のモードが発生し、波長の長いモードが素子のへりに出す磁荷がアレイ全体に揺動磁場を与えることによりアレイ化によりキャンセルできないノイズが生じるというメカニズムが存在することが示唆された。この問題を解決するには素子を球面上、あるいは円筒上に並べるなどの方法が考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Nanotechnology
巻: 14 ページ: 40-43
10.1038/s41565-018-0306-9
Applied Physics Letters
巻: 114 ページ: 082405_1-5
https://doi.org/10.1063/1.5082254