研究課題
本課題のタイトルの1つである最先端スピン偏極角度分解光電子分光については現状では世界で唯一ドイツのユーリッヒ研究センターにおいて最先端研究への開発技術開拓が続いている。申請代表者は2013年来、その装置の元祖であるドイツHalleのマックスプランク微細構造物理学研究所で同装置の利用実験に参加して以来継続して日独共同研究を継続している。2016年にはこの装置はシャットダウンされ、あらたにユーリッヒ研究センターにおいて申請代表者の参加するグループの力で装置導入が計画された。これまでの進行状況から判断すれば2018年中に改良装置が立ち上げられる予定である。申請者は最新ノウハウを得る為に2016年来同センターに滞在し立ち上げに参加すると共に最新情報を得るのに努力している。また同装置の前身を同じ研究グループで所有し放射光ビームラインに設置してあるイタリアElettra放射光施設においてはビームタイム申請や予備実験などを継続している。遷移金属代カルコゲナイドを用いた予備実験にはすでに成功している。一方共鳴軟X線非弾性散乱(SXRIXS)については、申請者の手で外部摂動磁場下での実験がSPring-8において順調に進んでおり、強相関系物質の純粋にバルク敏感な電子状態の解明が待たれる状況である。すでに半金属的なHeusler合金についての実験にも成功しており、論文発表も行うと共にいくつかの物質についての論文も執筆中である。
2: おおむね順調に進展している
摂動下共鳴非弾性軟X線散乱については、摂動磁場印加装置の設計・製作・実験は申請者の共同研究グループの手で順調に進んでおり、既に世界に先駆けた論文1報を発表し更に理論解析を含む複数の論文を執筆中である。電場印加装置についても設計・製作はおわり予備実験も行った。一方最先端スピン光電子分光についてはイタリアElettraでの実験を継続すると共に、ユーリッヒ研究センターで世界最新のスピン分解角度分解光電子顕微鏡(Momentum Microscope)製作を進めている。このノウハウを日独共同研究の形でわが国に導入するべく若手人材の開拓も平行して進めている。
摂動下共鳴非弾性軟X線散乱については、摂動磁場印加装置の設計・製作・実験は順調に進んでいる。電場印加装置についても設計・製作はおわりそれを用いた予備実験も行った。さらに可能なと思われるのは1軸性歪摂動で制御した電子状態のSXRIXS測定であるが、歪印加装置は磁場印加装置よりサイズが大きくなるので、実行可能かどうかの検討を要する。最先端スピン光電子分光についてはElettraでの実験を継続すると共に、ユーリッヒ研究センターでの装置立ち上げを急ぐ予定である。本装置はこれまでのスピン分解角度分解光電子分光装置に比べて1億倍程度の測定効率を有するので、如何に立ち上げに苦労するとしても立ち上がった後には、多数の研究者の共同利用を受け入れることができるので、複数の人材でノウハウを共有しながら立ち上げを進めたい。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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