研究課題
ハーフメタルフェリ磁性体ホイスラー合金と考えられているMn2VAl単結晶について、MnおよびVの2p内殻吸収近傍で軟X線励起のエネルギーを変えた際に、放射される光スペクトルの測定を系統的に行った。放射される光は弾性散乱、発光に加えて共鳴非弾性散乱(RIXS)の3種類がある。本研究では試料に外部磁場摂動を印加した状態で2p(3/2)内殻励起付近の測定を左右円偏光に対して行い円偏光励起2色性(MCD)を測定する事、さらに印加磁場の極性を反転した場合に左右円偏光での測定結果が逆転するチェックなどの完全測定実験に成功した。まずV2p(3/2)内殻励起閾値付近では発光は弾性散乱ピークから一定程度のエネルギー離れたエネルギーから生じることを発見した。これはVの3d電子状態がmojorityスピンとminorityスピンに関わらずフェルミ準位近傍では電子状態が極めて小さいことを意味している。また弾性散乱ピークから約2eV程度小さいエネルギー領域に弱いながらもRIXS構造が存在しこれは2p正孔がdecayする際にFerumi準位近傍の占有d電子が非占有d電子状態に励起されるd-d励起が起こっていることを証明している。一方Mnの2p(3/2)内殻励起閾値付近では発光は弾性散乱ピークから分岐して生じることを確認した。このことはMn3d状態はフェルミ準位で一定の状態密度を持っていることを意味する。Mnではup(majority)スピン状態にフェルミ準位近傍で状態密度が極めて小さい、いわゆるハーフメタル状態であることが予想されているので、第1原理計算から求められたハーフメタル状態を考慮して発光のMCDを計算で求めたところ、実験の発光のMCDを定性的に説明することが出来た。このことは光電子分光のように表面敏感な測定ではない、バルク敏感な実験からMn2VAlのハーフメタル性が確かめられたと言える。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phys. Rev.B
巻: 99 ページ: 134414-1~10
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