研究実績の概要 |
本年度は以下の研究を実施した。 1)低温用小型超高真空セルの整備:現有の超高真空装置は試料作製用超高真空槽及び切り離し可能なベリリウム窓付き小型超高真空試料セルから構成されており、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光施設内の実験準備棟に設置されている。低温での表面X線回折測定が可能な小型超高真空試料セルを新たに設計製作し整備を行った。 2)Bi2Se3超薄膜の測定:Si(111)基板上にBiを1原子層蒸着した√3×√3-Bi構造の上にBi2Se3超薄膜を成長させ、膜厚1, 2, 3QL(Quintuple Layer)の試料についてKEK放射光施設において表面X線回折実験を行い、構造解析に必要な回折データを取得することに成功した。回折データより、格子定数が膜厚によって変化することが示唆された。 3)単層FeSeの作製法および予備実験:FeSe薄膜の基板に用いるSrTiO3(001)の表面清浄化方法について調べ、超高真空中に導入する前の化学処理法や酸素中加熱条件や超高真空中での加熱温度に応じて、c(6x2), (2x1), (√13x√13)表面超構造が現れることが分かった。これら表面構造についてLEEDとRHEEDによる予備的な表面観察を行い、清浄な基板表面であることを確認した。さらに、研究室に設置した超高真空装置でFeSe成膜実験を行い、基板温度の条件だしを行った。 4)迅速測定法の開発整備:薄膜成長時のその場X線回折実験が行えるように試料セルおよび試料ステージの改良を行い、放射光施設における多様なビームラインで測定ができるように整備した。
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