研究課題/領域番号 |
16H03868
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
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研究分担者 |
岩田 太 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30262794)
水谷 祐輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40646238)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / 細胞と組織 / イメージング |
研究実績の概要 |
本研究は、走査型イオン伝導顕微鏡(SICM)を用いて液中での細胞・組織構造イメージングを可能とすることを目標とする。そのために昨年度は、1)SICMの生物試料イメージングに必要な測定環境の研究と装置の改善、2)SICMによる細胞レイヤーの高分解能動的イメージングのための予備実験、を行った。これももとに今年度は次の3点の研究を行った。 1)SICMの細胞試料イメージングに必要な測定環境の改善:昨年度に引き続き、いくつかの資料でSICM測定のパラーメータとイメージング画質の関係を解析した。その結果、試料が負にチャージした染色体では、電極に加える電流の方向により画質に大きな差がでることを明らかにし、その現象の解析と、克服法を考案した。 2)SICMによる細胞レイヤーの高分解能動的イメージングの検討: 生きた培養細胞の動的変化を、液中で高分解能で解析するためのパラメータ解析を行った。ホッピングモードの電流減衰率の閾値を1%以下にすることを含め、パラメータの最適化を図ることで細胞頂上部の微細な突起やヒダの分単位の動きを解析することが可能になった。 3)SICMによる組織の液中高分解能イメージングの検討: 生物の組織構造は凹凸が激しいことから、zレンジの大きなSICM試作機を用いて、ラット腎臓やリンパ節の観察を試みた。またSICMと走査電子顕微鏡(SEM)で同一部位の観察比較を行い、その画像の質を解析した。これにより、SEM像と対応可能なリンパ組織のSICM像の取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した本年度の研究計画の内容については、それぞれ一定の成果が得られた。また、その成果を国際学会等で発表し、一部は論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に積み残された点や、新たに生じた問題点について解析しながら、最終年度に向けて、1)SICMの測定環境の問題についての整理、2)SICMの時間分解能と空間分解能の解析、3)走査電子顕微鏡像との比較検討、をさらに進め、国際学会等で成果を発表するとともに、まとめられるものから論文作成を行う予定である。
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