研究課題/領域番号 |
16H03871
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40448014)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 酸化物エレクトロニクス / ナノテクノロジー / 電界効果トランジスタ |
研究実績の概要 |
本研究では、ナノスケールの単一の電子相ドメインにアプローチできるほど小さなチャネルを持つ酸化物極限ナノトランジスタを創出し、電界効果制御により超巨大On/Offスイッチング・メモリ機能が発現することを実証する。今年度の成果を下記に記す。 1)強相関電子系酸化物極限ナノ電極ギャップの作製 これまで、申請者が培ってきたパルスレーザデポジション(PLD)法による酸化物エピタキシャル単結晶作製技術とナノインプリント微細加工技術を用いて、1 cm x 1 cmの基板上に50個以上の単結晶VO2ナノワイヤーを一括作製する。TiO2(001)基板上の単結晶VO2薄膜のドメインは、我々の先行研究から10 nm~15 nmで整列していると考えられる。そのため、VO2チャネル作製には、10数ナノ幅のナノワイヤー化を行う必要があった。本年度は20 nm幅の電極ギャップの作製に成功し、単一ドメインの金属-絶縁体相転移による超急峻な電気抵抗変化を確認できた。 2)電界効果による単相~多値電子相制御 VO2ナノワイヤーにサイドから電界を印加するプレーナー型FET、及び高比誘電率ゲート材料を用いた縦型FETの両者を作製した。プレーナー型FETでは、チャネル側面に電界が集中し、これまで我々が行ってきた先行研究から、単結晶VO2の場合ナノチャネル幅を狭くすることでOn/Off比性能が向上していること確認し、理論解析を行った。 また、高比誘電率ゲートを用いた縦型FETにおいても同様にチャネル幅・長さを変化させたFET構造を作製し、On/Off比性能の最大化を狙い、端的にMott-FETの特徴である巨大応答性能を引き出す。ナノワイヤーVO2チャネルを用いることにより、従来の薄膜FETに比べて、一桁程度大きなOn/Off比を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度に予定していたナノギャップ電極の作製とナノ電極ギャップによる単一ドメインの電気伝導測定において、当初想定していた通り超急峻な金属-絶縁体相転移を確認できた。また電界効果トランジスタにおいても、ナノワイヤーチャネルを用いることで、薄膜チャネルと比べてOn/Off比の大幅な向上が見られたため、計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、VO2ナノワイヤーにサイドから電界を印加するプレーナー型FET、及び高比誘電率ゲート材料を用いた縦型FETの両者を作製する。プレーナー型FETでは、チャネル側面に電界が集中し、これまで我々が行ってきた先行研究から、単結晶VO2の場合ナノチャネル幅を狭くすることでOn/Off比性能が向上していることを既に見出しており、10 nm幅のチャネルに対して十分に単一ドメインの電子相転移のトリガーになりえると考えている。 プレーナー型FETの特徴は、チェネル上部がオープンなため、原子間力顕微鏡によるナノ電気伝導測定と組み合わせたナノ物性評価が可能なことである。また、高比誘電率ゲートを用いた縦型FETにおいても同様にチャネル幅・長さを変化させたFET構造を作製し、On/Off比性能の最大化を狙い、端的にMott-FETの特徴である巨大応答性能を引き出す。全固体酸化物ナノFETにより、巨大On/Off、及び多値メモリ、スイッチング制御を実現させる。
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