報告者が開発した単一スピン・回転状態選別酸素分子ビームは、表面へのO2吸着スピン・配向効果観測を初めて可能にした新技術であるが、並進エネルギー範囲が0.3eV以下と低く、10-2以下の吸着確率測定は困難という問題があった。本計画において、ビーム偏極に用いる多段六極磁子の段数を増加させることにより、並進エネルギー範囲を0.1-0.9eVまで拡張し、(1)白金(111)平坦表面へのO2吸着異常挙動の起源解明、(2)白金ステップでのO2吸着立体効果の初めての観測、等の成果を得た。実験室XPS/配向O2ビーム複合装置を開発し、長時間のビーム照射による化学状態変化を基に吸着確率を評価する方法を示した。
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