研究課題
研究代表者は、独自に見出した多層膜ミラー結像系の設計解に基づき結像型EUV顕微鏡を開発し、波長13.5nmにおいて、世界最高分解能30nmを実証した。 一方で、研究は原理検証の段階で、提案光学系の①高速性(短い露光時間)、②マルチスケール性(広視野)、③リアルタイム性 の実証には至っていない。本研究では、提案光学系とレーザープラズマ光源を組み合わせ、実験室規模のEUV顕微鏡を開発する。さらに、マイクロ-ナノ階層構造を持つ高分子材料や生体を例に、試料を1-shot(10ナノ秒)露光し、直径200μmの広視野の一括マルチスケール観察を実現する。これにより、提案光学系の3つの利点を実証し、顕微鏡を学会・産業界で広く活用される実用システムとして位置づけたい。今年度初頭には、研究代表者の異動に伴い、開発したEUV顕微鏡システムや周辺機器を、東北大学から東京工芸大学に移設した。移設後、真空槽、レーザープラズマ光源、および、試料ステージ等の組み立て・調整を行い、顕微鏡システムの構築を前年度に引き続き行った。年度後半には、多層膜ミラー光学系の組み立てを行い、顕微鏡システム全体を構築した。その後に、標準試料の透過観察を行い、構成したEUV顕微鏡の空間分解能やコントラスト特性を実測し、概ね設計性能が得られることを確認した。 高分子フィルムの観察では、標準試料としてPS/PMMA等、種々のポリマーブレンドを取り上げ、EUV像を観察し良好な無染色コントラストが得られることを確認できた。さらに、像コントラストの生成モデルをもとに定量的な像解釈を行い、ポリマーブレンドで観測される像コントラストは、主に、試料に含まれる酸素の構成比により生じていることを明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. SPIE
巻: 11032 ページ: 110320P
https://doi.org/10.1117/12.2520543
Springer Proceedings in Physics
巻: 202 ページ: 287-290
https://www.t-kougei.ac.jp/manabi/engineering/37738.html