研究課題/領域番号 |
16H03878
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
内田 淳史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50327996)
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研究分担者 |
菅野 円隆 福岡大学, 工学部, 助教 (10734890)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乱数 / 応用光学・量子光工学 / 先端機能デバイス / セキュア・ネットワーク / 超高速情報処理 |
研究実績の概要 |
ランダムな数列を生成する乱数生成器は、情報セキュリティ分野や自然災害予測のための大規模数値シミュレーション分野に必要不可欠な基盤技術である。しかしながらコンピュータで生成される擬似乱数を用いた場合、安全性の脅威や予測精度の低下が近年大きな問題となっている。そこで本研究では、複雑系フォトニクス現象に基づく超高速物理乱数生成器の開発とその高機能化を行うことを目的とする。特に半導体レーザの高速性とカオスの不規則性を利用した超高速物理乱数生成器の開発を行い、大量の物理乱数に対するランダム性の質の定量的評価方法の確立を目標とする。さらに、物理乱数生成器のエントロピー生成率を実験データから定量的に評価して乱数のランダム性の理論的保証を行う。加えて、光集積回路および乱数生成処理用電子回路を一体化した高速物理乱数生成モジュールを開発し、実時間での超高速物理乱数生成を実験的に達成する。 本年度は、帯域拡大カオスを用いた高速物理乱数生成を行った。カオス生成用レーザと帯域拡大用レーザを準備し、カオス発生用レーザの光出力を帯域拡大用レーザへと注入してレーザの波長を高精度に制御することで、帯域拡大を達成した。ここで光周波数差を変化させることにより、広帯域なカオス波形を生成することに成功した。さらに半導体レーザから受光素子までを一体化した乱数生成用の光集積回路の実験的調査を行った。非線形ダイナミクスの詳細な調査により、間欠性カオスの存在を新たに発見した。さらに外部共振器長の変化に対する、乱数生成に適したダイナミクス発生のパラメータ設定値を実験的に明らかにした。これらの成果は既に国際公刊論文誌に採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は当初の計画通りに進展している。本年度の研究において、帯域拡大カオスの発生や光集積回路のダイナミクスの調査において多くの成果が得られており、順調に研究課題が遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、時系列データを用いた帯域拡大カオスのエントロピー生成率の評価を行う予定である。また新たなカオス発生方法として、ヘテロダイン検波を用いた白色カオスの発生と高速物理乱数生成を行う。さらにはプログラム可能な電子回路(FPGA)を用いることで、乱数生成処理方式のハードウェア実装を行う予定である。
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