研究課題/領域番号 |
16H03884
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60240818)
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研究分担者 |
市川 聡 大阪大学, ナノサイエンスデザイン教育研究センター, 特任准教授(常勤) (80403137)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レーザーアブレーション / 光プロセシング / 超流動ヘリウム / 微小共振器 / 超伝導 |
研究実績の概要 |
超流動ヘリウム中におけるレーザーアブレーションによる半導体ナノ・マイクロ粒子の作製及び特性評価について、ZnO及びCdSeを対象として進め、生成した直後にクライオスタット内でCdSe粒子の発光を測定することに成功した。また、得られたCdSe微粒子の単一分子分光を行い、その光学特性を評価した。 また、ZnOマイクロ粒子については、集束イオンビーム装置を用いて単一粒子をカットして内部構造を観察することに成功した。その結果、多くの場合、内部に空洞が存在することを見出した。空洞の大きさや位置は試料依存性が大きかったが、その形状や位置と微小共振器としての性能の関係を調べ、どういった場合に共振器特性が劣化するかを実験的に検討した。さらに、共振器(Whispering Gallery)モードの計算結果と比較し、定性的な一致を見た。 一方で、対象をIn, Reなどの金属にも拡張し、マイスナー効果を利用して、超伝導状態の微粒子のみを選択的に磁気的にトラップすることに成功した。さらに、それらの粒子のサイズや形状を透過電子顕微鏡で観測し、球状のものが多いことを確認すると共に、サイズと超伝導特性の関係を明らかとする端緒を得た。 上記のZnOの内部構造観察と超伝導微粒子の磁気トラップの成果は各種学会で報告し、論文化も行った。 一方、高感度CMOSカメラを購入・整備し、超流動ヘリウム中でのアブレーション過程の直接観察を行う準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZnOマイクロ粒子の内部構造観察に成功して空洞が存在することを見出したことは、真球状単結晶が生成される機構解明に大きな手掛かりを与えると共に、外部形状の観察のみでは評価できない、光学特性への影響が存在することを明らかとしたことになる。このように、本研究の進展に大きな影響を与える成果を得ることができた。 また、当初予定しなかった金属にも対象を広げたところ、超伝導粒子の磁気トラップにも成功し、今後、当初の予想以上の進展が見込まれることとなった。 さらに、学会発表や論文掲載も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で確立したマイクロ粒子の内部観察技術を適用し、空洞の有無、サイズ、位置の制御やその存在による光学応答への影響を詳しく調べる。さらに、準備を終えたクライオスタット中のレーザーアブレーション過程及び発光スペクトル観測系を活用して、真球状単結晶の成長条件を明らかとし、その歩留まりや共振器特性の向上を進める。一方で、超伝導微粒子の転移温度と粒形サイズの関係など、物性と形状との関係を調べる。
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