研究課題/領域番号 |
16H03897
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
秋山 毅志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (80370138)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高調波干渉計 / 非線形光学結晶 / 大気圧プラズマ |
研究実績の概要 |
本課題の主たる目的は、従来の干渉計では中性ガス密度変化のために電子密度の計測が困難であった大気圧プラズマにて、高調波干渉計で電子密度計測法を確立させることである。その中でも、可搬のために小型化すること、そして数十kHzの繰り返し周波数の高い運転でも、十分な追従性で計測できるよう、時間分解能を高めることが、本課題の目標である。 高調波干渉計は非線形光学素子を用いて2倍高調波を発生させ、基本波と2倍高調波の混合波をプローブ光とする。2倍高調波の発生効率は、入射するレーザー光のパワーの2乗に比例するため、パワーが小さいと十分な信号強度が得られない。そのため、小型化する際の課題は、小型に伴って低出力になるレーザー光に対しても、十分な2倍高調波を得られるようにすることである。 平成28年度は、3年計画の基になる、小型レーザー使用時の2倍高調波発生効率系の設計を行った。使用する炭酸ガスレーザーの波長帯では、2倍高調波の帯域に水による吸収があるため、幾つかの発振波長ラインでデータの比較検討を行うため、レーザーは波長可変ができるようにした。可搬に向けたシステム簡素化のため、冷却方式は空冷とし、それでいて発振パワーが1.6 Wの連続発振レーザーを選定した。核融合研でこれまでに開発した高調波干渉計と比較し、パワーは約1/4(2倍高調波の発生効率では1/16)であるが、これで十分な2倍高調波を得るため、非線形結晶には近年商品化されたOP-GaAsとした。上記のレーザー光の入射条件を最適化し、結晶長20 mmで約3 mWの2倍高調波の発生が期待できることを示した。 当初計画では、本年度は設計したOP-GaAsを購入する予定であったが、メーカー側の生産計画の変更のため、結晶の購入は先送りし、結晶と同じく仕様を決定していた、来年度に購入予定であった炭酸ガスレーザーの購入し、発振性能試験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題採択時の計画では、平成28年度は2倍高調波発生系の仕様を検討・決定した後、非線形光学結晶を購入して試験する予定であった。しかし、メーカー側のGaAs結晶素材の在庫状況や生産計画の変更により、28年度の納入が困難になった。そこで、結晶の購入は29年度に先送りすると同時に、28年度に計画していた小型レーザーの購入を前倒しすることにした。納入された小型空冷レーザーは、設計したOP-GaAsを用いた場合に計測に十分な2倍高調波が発生できる1.6 W以上の出力が得られることを確認した。レーザー光のモード、及び安定化機構による出力安定化も良好であることを確認している。そのため、キーとなる機器に納入のトラブルが生じたが、年度計画の見直しにより、計画進行に大きな影響を与えることなく進展させることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、年度開始後速やかに非線形光学結晶の調達に入り、納入後に既存の高出力レーザー、及び28年度に購入した低出力レーザーを用いて2倍高調波の発生効率の試験を進める。 同時に、高時間分解能化のための変調周波数の高い変調器として、音響光学素子を選定し、試験を開始する。当初、変調器の候補としては音響光学素子と電気光学素子の二つがあったが、現在入手可能な電気光学素子は、パルス的な変調を想定しており、本用途のように連続的に使用する場合は、熱的な制約が出てくる懸念が払拭できなかった。そのため、本課題では音響光学素子を採用し、その際の信号処理系も高周波位相検波器とするなど概念設計は行っており、それに基づいた試験を実施する。
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