研究課題/領域番号 |
16H03913
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
木村 滋 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主席研究員 (50360821)
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研究分担者 |
今井 康彦 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (30416375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 放射光 / X線回折 / 異常散乱 / 半導体物性 |
研究実績の概要 |
一般的なX線回折によるSiGe層の組成の評価は,格子定数が組成と比例関係にあるという近似(ベガード則)と弾性定数に関係するポアソン比を利用して求めている.一方で,格子定数だけでなく弾性定数(ポアソン比)も組成に依存するため,正確に組成を決定することは,実は困難である.現状は,ポアソン比も格子定数と同様に組成と比例関係にあるという近似を用いている場合が多いが,この近似の有効性は曖昧であり,組成決定に誤差を生む要因になっている. 本研究の目的は,上述のような困難を克服し,放射光を用いたナノ集光異常散乱X線回折法により, SiGe層の局所領域の組成と歪緩和率を独立に決定する手法を開発することにある. 具体的には,Ge 原子の吸収端(11.103keV)およびその近傍のエネルギー(例えば11.000keV)のX線を用い,両者のブラッグ反射強度を比較することにより,歪緩和SiGe層内の組成を決定する.一方,歪は通常通りX線回折ピーク位置から決定する.これにより,これまで,歪と組成の両方をX線回折ピーク位置から決定していたものを,組成は回折強度差から,歪はピーク位置からとそれぞれ独立に決定可能になる. 平成29年度は、初年度に導入したピクセル検出器を制御するソフトウエアを作製し,実際にGe吸収端近傍の波長(11.000および11.107 keV)でSi基板上歪緩和SiGe層の逆格子マップ測定を実施した.若干の問題点は残っているものの測定システムがほぼ完成したことにより,今後の研究の加速が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に導入したピクセル検出器の制御ソフトウエア開発が当初予定より遅れた.理由は,製品に付属するDLLが我々の制御パソコン環境で動作しなかった為である.海外デベロッパーと協議を重ね,正常に動作するDLLを入手し,現状,制御可能になった.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までに初年度に導入したピクセル検出器を制御するソフトウエアを作製し,実際にGe吸収端近傍の波長(11.000および11.107 keV)でSi基板上歪緩和SiGe層の逆格子マップ測定が出来るようになったため,最終年度である平成30年度は,多くの測定を実施し,計画を達成する予定である.
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