研究課題/領域番号 |
16H03919
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
桂田 英典 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (80133792)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 周期 / 合同 / L関数 / Siegel級数 |
研究実績の概要 |
Hermitian adelic Ikeda liftに関する池田の予想を解決した論文を発刊した.この結果はKim-Yamauchi liftの周期関係を考える上で重要なヒントになると思われる.Kim-Yamauchi liftに関する周期関係については連携研究者である山内卓也と7月に議論を行い今後の計画について話し合った.さらにその後Henry Kim氏(トロント大)との共同研究により,周期関係の予想を得ることができた.局所体F上の2次形式のGross-Keating invariantの基礎理論を構築し,これを利用して2次形式のSiegel級数の明示的公式を求めることに成功した.(池田保との共同研究)これらは,2つの論文にまとめられ,そのうちの前者はAmerical Mathematical Journal に出版予定である.後者の要約は数理科学研究所講究録に掲載され,また本論文は投稿中である.又,これらの結果を2017年オーストラリアで開催された研究集会で発表した. FがQp 上不分岐のときGross-Keating invariantを求めるアルゴリズムを求めた(S. Cho氏, 池田保,山内卓也との共同研究).この結果は投稿中である.また,これに関してCho氏を室蘭に招聘し議論を行った.これらのHilbert保型形式のHilbert Siegel保型形式へのlift(Ikeda-Yamana lif)の周期関係を得る上で有効のみならず,ある種の数論的多様体のサイクルの交点数に関する研究にも応用されると期待される.また,局所体上のエルミート形式のGross-Keating invariantの基礎理論を構築し,これを利用してエルミート形式のSiegel級数の明示的公式を求めることを試みた.(池田保との共同研究)これは,ほぼ完成しつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Kim-Yamauchiリフトの周期関係についてはかなり大きな進展があった.2次形式の局所理論については上に述べたようにかなり整備された.これにより,Ikeda-Yamana lifリフトの周期関係を得るための局所理論の準備は整ったように思う.また,エルミート形式の局所理論にもかなりの進展がありこれは予想以上の結果である.これらは連携研究者である池田保との共同研究であり,これらの意味で研究は順調に進展していると思われる.Quaternionic unitary群上保型形式へのリフト(Yamana lift)の周期関係については,上に述べたHermitian Ikedaの場合を参考にして研究を始めているが,必要な局所理論を整備するための時間がなく未完成である.
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今後の研究の推進方策 |
山内卓也,Henry Kim氏との共同研究により,Kim-Yamauchiリフトの周期関係について研究業績概要で述べた予想を解決する.研究代表者は5月末にHenry Kim氏にKIAS(韓国)に招待されており,その際上記について議論する.また,山内卓也と室蘭または仙台で2~3回議論する.このため,山内を室蘭に招聘する.また,数理解析研究所での研究集会の際にも研究打ち合わせを行う.また,連携研究者である千田雅隆と議論し,数論幾何学的知見を得る. 池田保との共同研究により,エルミート形式のGross-Keating invariantの基礎理論,およびSiegel級数の明示公式を完成させる.このために,池田を室蘭に招聘する.また,白馬整数論ワークショップや数理解析研究所での研究集会の際にも研究打ち合わせを行う.
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