研究課題/領域番号 |
16H03928
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
下川 航也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60312633)
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研究分担者 |
石原 海 山口大学, 教育学部, 講師 (40634762)
小沢 誠 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (50308160)
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 結び目 / DNA / トポロジー |
研究実績の概要 |
この研究では、結び目理論、および、3次元トポロジーの研究を行い、その成果を、染色体のトポロジー、DNA組換えの研究、高分子ポリマー等の研究へと応用するものである。 本年度の研究では、研究分担者の石原海氏他とともに、ファイバー絡み目間のバンド手術の特徴付けの論文を発表した(J. London Math. Soc.(2016) )。これは、Xer等のDNA組換えの特徴付けの応用がある。また、研究分担者の小沢誠氏とともにデーン手術とFoxの埋め込み定理に関する論文を発表した(Ann. Sc. Norm. Super. Pisa Cl. Sci. (5) (2017))。Javier Arsuaga氏とともに、染色体のトポロジーに関して、結び目のheat mapと結び目のトポロジーに関する研究を行い、成果を得ている。また、Mariel Vazqeuz氏とともに、DNA組換えを格子結び目を用いてモデル化し、シミュレーションによる成果を得ている。これらは平成29年度に公表予定である。さらに、絡み合う3次元ネットワークに関する基礎的成果を得ることが出来た。小沢誠氏は、その研究に応用が期待されるmultibranched surfaceに関する成果を、論文として発表した。 また、2016年8月には国際ワークショップ 「Topology and graphs in polymer chemistry」を東京工業大学において開催し、多くの研究者を招待し、結び目とポリマーに関する研究討論を行った。また、それに先駆け行われた早稲田大学における国際ワークショップ「International Workshop on Spatial Graphs 2016」と、中央大学におけるEncounter with Mathematicsに援助を行い、結び目理論の応用についての研究討論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた5つの研究分野のうち、1.染色体のトポロジー、2.格子結び目とポリマーのトポロジー、3.DNAの組換え、4.3次元ハンドル体分解とネットワークの分類については、今年度研究が順調に推移している。特に、染色体のトポロジーについては、基礎的な結果を得ることが出来、近々論文として発表する予定である。また、DNAの組換えについても現在論文を投稿中である。5.欠陥線が作る結び目の研究については、U.Tkalec氏に加え、S.Zumer氏とも連絡をとり、29年度以降に、これまでに得られた数学的結果の物理学的応用を行うことになった。全般的に、今年度は予定通りの成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、1.染色体のトポロジー、2.格子結び目とポリマーのトポロジー、3.DNAの組換え、4.3次元ハンドル体分解とネットワークの分類、5.欠陥線が作る結び目の研究を中心に研究を行う。 2017年8月にお茶の水女子大学において、出口哲生氏とともに、国際会議「Knots and Polymers: Aspects of topological entanglement in DNA, proteins and graph-shaped polymers 」を開催し、多くの専門家を招き、結び目とポリマーに関する研究打ち合わせを行う。また、東北結び目セミナー、Encounter with Mathematics等の活動を援助し、結び目理論やトポロジーのの応用に関する研究討論を活発に行い、さらなる発展を目指す。
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