韓国高等科学院のBumsig Kim氏および吉田豊氏、それに韓国科学技術院のJeongseok Oh氏と共同で、トーリック留数ミラー対称性のGrassmann多様体への拡張について研究を行った。トーリック留数ミラー対称性は、Morisson-Plesserらの先行研究を踏まえてBatyrev-Materovによって定式化され、Szenes-VergneやBorisov、Karuらによって証明されたものであり、GorensteinトーリックFano多様体のネフ分解から来るCalabi-Yau完全交叉に対して、quasimap不変量の母関数とミラーの周期の間に明示的な関係があることを主張する。超対称局所化の進展により、ゲージ群がAbel群とは限らない場合のA-twisted gauged線形シグマ模型の相関関数のJeffrey-Kirwan留数による表示がBenini-ZaffaroniやClosset-Cremonesi-Parkによって2015年に得られたが、筆者らはこれを、トーリック留数ミラー対称性を非Abel群によるベクトル空間の幾何学的不変式論的商へ拡張する数学的な予想として定式化し、Grassmann多様体に対して証明した。 また、京都大学大学院理学研究科の伊藤敦氏、大阪大学大学院理学研究科の大川新之介氏および韓国高等科学院の三浦真人氏と共同で、G_2型の等質空間の同変ベクトル束によるCalabi-Yau完全交叉を分類した。 さらに、明治大学の野原雄一氏および東京大学大学院数理科学研究科の橋本健治氏と共同で、ミラー対称性とGromov-Hausdorff収束の関係を念頭に置いて、楕円K3曲面の複素構造が底空間の判別式集合から決まるかどうかについて研究を行った。
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