研究実績の概要 |
Imperial College LondonのYanki Lekili氏と共同で、ホモロジー的ミラー対称性に関する研究を行った。特に、前年度までにLekili氏と共同で定式化した、可逆多項式のMilnorファイバーの巻かれた深谷圏を、Berglund-Huebsch転置多項式に全ての変数の積として与えられる項を加えて得られる多項式の次数付き行列因子化の圏と同定する予想を、2以上の任意の次元の単純特異点に対して証明した。この証明は、次数付き行列因子化の圏とKellerの意味のCalabi-Yau完備化の関係に基づいている。また、その応用として、任意のDynkin箙と任意の正の整数nに対して、道代数の導来n前射影代数のHochschildコホモロジー群と、2以上の任意の次元の単純特異点のMilnorファイバーのシンプレクティックコホモロジー群を具体的に記述した。 大阪大学の大川新之介氏と共同で、非可換代数幾何学の研究を行った。特に、微分次数圏の非輪体的螺旋列からAS正則代数を構成できることを示した。これはBondal-PolishchukやVan den Berghによる先行研究の現代的かつ見通しの良い拡張を与える。 金沢大学の永野中行氏と共同で、IV型領域上の保型形式環の研究を行った。特に、直交群O(2,4,Z)に対する指標付き保型形式環が重み4,4,6,8,10,10,12,30の保型形式で生成され、重み8,20,60の関係式を持つことを証明した。証明は符号(1,15)を持つ格子U+E7+E7に関する格子偏極K3曲面のモジュライ空間の軌道体構造を調べることによってなされる。また、符号数(2,18)の偶ユニモジュラー格子に対する指標付き保型形式環が、ある不変式環に重み132のBorcherds積と、重み264の関係式を付け加えて得られることも証明した。
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