研究課題/領域番号 |
16H03931
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 俊丈 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (80144111)
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研究分担者 |
加藤 晃史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (10211848)
逆井 卓也 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), その他 (60451902)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 組みひも群 / 配置空間 / 共形場理論 / KZ方程式 / 量子群 / 超幾何関数 / 高次圏 / 位相的場の理論 |
研究実績の概要 |
位相的場の理論の立場から組みひも群の表現とその高次圏への拡張についての研究を進展させた.組みひも群のホモロジー表現は,点付き円板の写像類群としての,配置空間のアーベル被覆のホモロジー群への作用として定義され,組みひも群の線形群への埋め込みとして重要な意味を持つ.研究代表者はKZ方程式の解の超幾何関数による積分表示を用いて,組みひも群のホモロジー表現とKZ方程式のモノドロミー表現との関連を明らかにした.共形場理論の場合は無限遠でレゾナントであり,共形ブロックへの組みひも群の表現は量子群の1のベキ根における表現の対称性をもつ.この場合に,積分サイクルの構造を詳しく調べて,KZ方程式が,代数多様体の周期積分の満たす微分方式として表されること,つまり,Gauss-Manin接続としての表示されることを示した.KZ方程式のモノドロミー表現は平坦接続のホロノミーとして定義されるが,一般に反復積分を用いて,ホロノミーを高次圏に拡張する研究を行った.特に,配置空間のホモトピー・パス亜群の2次の圏としての表現により,組みひものコボルディズムの圏の表現を構成した.一般に,ホモトピー・パス亜群のホロノミー表現を,Chenの形式的ホモロジー接続の概念を用いて,高次の圏に拡張した.さらに,この手法によるKZ接続の圏化について研究した.これはKontsevich積分の2次元組みひもへの拡張を与えており,量子不変量の圏化の問題の視点からも重要な発展を与える研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共形場理論における共形ブロックの空間を配置空間上の局所系係数のホモロジーを用いて記述することは,局所系が無限遠でレゾナントであることから困難であったが,この問題を解決することができた.また,組みひもコボルディズムのなす高次の圏の表現について,反復積分の手法を用いた新たな展開があった.これは量子不変量の圏化の問題においても重要な役割を果たすことが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,反復積分による組みひもコボルディズムの高次圏の方法を発展させて,KZ方程式の圏化の問題,配置空間のラグランジアン部分多様体のなすA無限大圏との関連を研究する計画である.そのために,シンプレックティック幾何学等の分野の専門家とも幅広く連携して研究を進める計画である.
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